2014 Fiscal Year Research-status Report
染色体構造とゲノム配列の統合にもとづく新規エピゲノム解析法の開発
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25430168
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡邊 良久 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00362187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 真人 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20190291)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNA複製タイミング / ヒトゲノム / 染色体 / バンド境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA複製タイミングを指標にして、染色体構造とゲノム配列の統合にもとづくエピゲノム解析を行った。その結果、塩基配列レベルでゲノム網羅的に特定されたヒト染色体のR/G-バンド境界領域には、グルタミン酸レセプター遺伝子群などの神経シナプス関連遺伝子やアルツハイマー病の発症と関連したAPPを含む脳神経疾患遺伝子群が集中して局在するという予想外の興味深い研究結果が得られた。神経シナプス機能や脳神経疾患の発症と関連した遺伝子群は、ゲノム上にランダムに局在しているのではなく、ある特定のゲノム領域に局在しているとことが示唆された。また神経系由来細胞を含む種々の細胞系列間での詳細なDNA複製タイミングの比較解析を行った。その結果、R/G-バンド境界のゲノム上の位置が、これらの細胞系列間で変動していることが判明した。染色体バンド境界は、神経分化の過程や外的環境の変化などにより、ゲノム上での位置がエピジェネティックに変動することが示唆された。さらに、S期前期から後期への複製タイミングの転換部位として特定された染色体バンド (R/G) 境界領域は、DNA増幅領域(amplicon)に対応する染色体異常をおこしやすいゲノム不安定化部位であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNA複製タイミング測定法を用いて、ヒト染色体のR/G-バンド境界のゲノム網羅的特定にもとづく新規ゲノム・エピゲノム解析法を開発し、各種細胞系列間での比較解析に応用することができた。 これまでの研究結果から、構造的クロマチン境界に対応する染色体のバンド境界の特殊な構造環境は、神経可塑性の分子基盤や脳神経疾患の発症メカニズムと密接に関連した “ハイリスク・ハイリターン”ともいうべき特徴を備えているという当初の仮説を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において開発したDNA複製タイミングを指標にした新規ゲノム・エピゲノム解析法を用いて、染色体バンド境界のゲノム位置の変動が、さまざまな疾患の予後・病態診断の指標になりうるかを検証していく予定である。 特にグルタミン酸レセプター遺伝子群やアルツハイマー病の原因遺伝子APPに着目した脳神経疾患ならびに細胞周期関連遺伝子群に着目したがんについてのエピジェネティクス解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
現在公開されているDNA複製タイミングなどのエピゲノムデータベースを有効に活用することにより、そこから得られた情報解析の結果を実験解析の結果と組み合わせ、研究を効率的に進めることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各種疾患由来の細胞系列を用いて、DNA複製タイミングやDNAメチル化などのエピゲノム解析を包括的に行うために使用する計画である。 また、これらの実験解析結果と現在公開されているゲノムやエピゲノムデーターベースを組み合わせるための情報解析に使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)