2013 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子ノックアウト法によるヒストン修飾酵素群固有生理機能の総括的解析
Project/Area Number |
25430170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
菊池 秀彦 宮崎大学, 医学部, 助教 (10301384)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | histone acetylation / gene expression / GCN5 / B cell differentiation / epigenetics / Blimp-1 / IRF-4 / DT40 |
Research Abstract |
[目的・方法]ヒストン修飾酵素の一つ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼGCN5の生理機能を解明する為に、その遺伝子を欠損させたDT40細胞(ニワトリ未熟B細胞株)のphenotypeを詳細に解析している。本年度は、B細胞分化を制御する重要な転写因子の遺伝子発現におけるGCN5の役割を明らかにする為に、これらの遺伝子の発現量をDT40の野性株とGCN5欠損株との間で比較した。 [結果]GCN5欠損株ではB細胞分化を制御する転写因子のうち、Blimp-1およびIRF-4の遺伝子発現が劇的に低下していた。Blimp-1およびIRF-4遺伝子をGCN5欠損株に導入したところ、Blimp-1の過剰発現はIRF-4の遺伝子発現に影響を与えなかったのに対し、IRF-4の過剰発現はBlimp-1の遺伝子発現を顕著に促進した。この結果により、GCN5の標的はIRF-4であることが強く示唆された。さらに、ChIPアッセイによって、IRF-4遺伝子の上流域にGCN5が結合していることを明らかにした。これらのデータから、未熟B細胞ではGCN5→IRF-4→Blimp-1なる遺伝子発現制御スキームが機能していることが示された。 [本研究の意義・重要性]この結果は、未熟B細胞中でGCN5がB細胞分化を支配する転写因子IRF-4の遺伝子発現を制御することにより、B細胞分化に寄与していることを明らかにした最初の報告である。この結果をJournal of Leukocyte Biology誌に投稿し受理されたが(95巻3号, 2014年)、当該号におけるHighlighted articleに選出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ヒストンアセチル化酵素GCN5の重要な生理機能(B細胞特異的転写因子IRF-4の遺伝子発現を制御する)を明らかにすることにより、B細胞機能のepigenetic regulationの一端の解明に貢献することができた。また、GCN5欠損変異株を含む種々の遺伝子欠損変異株の解析も順調に進行中であり、来年度以降の研究推進に向けて期待が持てる状況である。 加えて、本年度は哺乳動物(ウシ)の胎児血清中に存在する抗アポトーシス活性を制御する因子として血液凝固因子XIIIを同定することができた。血液凝固因子XIIIが関与する抗アポトーシス活性は胎児の血清のみに認められ、成牛や幼牛では確認されなかった。この結果は、発生分化の過程におけるアポトーシスを制御する新規のメカニズムでると考えられ、今後一層の発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
目下、研究は計画通りに進行しており、今後も計画通りに遂行していく予定である。 現在のところ、研究計画の変更や研究遂行上の課題等は無い。
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Research Products
(5 results)