2014 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類ミトコンドリア蛋白質合成系の再構築と分子機構の解明
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25440004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 野乃(竹内野乃) 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (80323450)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / タンパク質合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、哺乳類ミトコンドリア蛋白質合成系の分子機構を理解することを目的とし、薬剤デザイン等の医療応用への貢献を目指している。 当該年度は特に、哺乳類ミトコンドリア翻訳因子に誤作用する薬剤の作用機序の解析(高脂血症治療薬StatinのRRFmt/EF-G2mtへの作用機序の解析)を目的として、クライオ電子顕微鏡観察による哺乳類ミトコンドリア55Sリボソームの構造解析を中心に研究を進めた。ミトコンドリアリボソームの調製方法の改良を行い、さらに、解析粒子数を増やす事により、リボソーム単体の構造について分解能を向上させた。その結果、ミトコンドリアリボソームの小サブユニットに特有な構造を見いだした。また、リボソームと翻訳因子(EF-G1mt、EF-G2mt、RRFmt、およびtRNA)の複合体の形成条件について検討し、初期構造を得た。 また、再構築型ミトコンドリア生体外タンパク質合成系(mtPURE system)の応用にも取り組んだ。昨年度、部位特異的に非天然アミノ酸(光クロスリンカー)を導入するシステムを確立し、引き続きその応用を試みた。ミトコンドリアリボソームは膜タンパク質の合成に特化したユニークなペプチドトンネル構造を有することが示唆されており、新生ペプチドとリボソームトンネルの相互作用の解析を目指した。これまでのところ、翻訳条件や光クロスリンカーの種類(εANB-Lys、L-4-Benzoyl-phenylalanine)について検討を行っているが、解析に十分な光クロスリンカーの導入効率が得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミトコンドリアリボソームの構造解析は概ね順調に進んでいると考えている。 一方、再構築型生体外タンパク質合成系を応用してゆくためは、システムの翻訳効率を向上させる工夫が必要である。現在のシステムでは異種(大腸菌由来)tRNAを利用しているため、ミトコンドリア由来のtRNAおよびアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)群を導入する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリアリボソームの構造解析については、諸翻訳因子とリボソームの複合体の構造を決定するとともに、特にEF-G2mt/55S複合体については、statin存在下の構造についても解析を進める。 再構築型生体外タンパク質合成系の応用については、翻訳効率を向上させるため、ミトコンドリア由来のtRNAおよびARS群の導入を検討する。各種組み替えミトコンドリアARSの取得、ならびに、ミトコンドリア抽出液からのアミノアシルtRNA合成酵素複合体の単離精製、を試みる。
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