2015 Fiscal Year Annual Research Report
ポリADPリボシル化酵素PARPによる熱ショック因子HSF1の転写制御機構
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25440010
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤本 充章 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80359900)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HSF1 / PARP / 転写 / ポリADPリボシル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞が高温にさらされると、プロテオスタシス容量の調整を担う熱ショック蛋白質等の発現が誘導される。これら蛋白質は、主に熱ショック因子(HSF)によって転写レベルで制御される。HSF1は、非ストレス条件下でもわずかに存在する三量体のHSF1が、絶えず転写の活性化や抑制に働いている。しかしながら、非ストレス条件下でのHSF1によるクロマチン構造の調節などの一連の転写調節機構については未解明な部分が多い。今回、新たにHSF1結合蛋白質としてポリADPリボシル化酵素を同定し、その機能解析を行った。 HSF1が、PARP1およびPARP13と複合体を形成すること、ストレスを受けていない細胞内でそれらをHSP70プロモーターへ引き寄せることを見いだした。熱ストレスにより、HSP70プロモーターにHSF1は顕著にリクルートされるが、PARP1はHSF1-PARP13複合体から解離し、PARP1のみが下流のHSP70遺伝子領域へと再分布した。このPARP1の解離は、PARP1自身のポリADPリボシル化で制御されており、この修飾が熱ストレス後のHSP70遺伝子領域への移動とそのクロマチン構造の弛緩に必要であった。この三者複合体の生理的機能を明らかにするために、制御遺伝子の網羅的な解析を行い、DNA損傷ストレスで誘導される遺伝子群を新たに同定した。これらDNA損傷ストレス誘導遺伝子のプロモーター領域にもHSF1, PARP1, PARP13がリクルートされた。また、HSF1-PARP複合体は、これらの遺伝子の発現抑制に関わることが分かってきた。本研究により、PARPを介したHSF1の転写制御における新たな分子機構を提唱できたと考えられる。
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Research Products
(5 results)