2013 Fiscal Year Research-status Report
膵臓外分泌機構におけるトリプシノーゲンの糖鎖認識の意義
Project/Area Number |
25440016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小川 温子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (90143700)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵臓外分泌 / トリプシン / トリプシノーゲン / 糖結合部位 / 分泌顆粒 / 糖鎖認識 / 活性化抑制 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
本研究室ではウシトリプシノーゲン(BPTG)ならびにウシ・ブタトリプシン(BPT・PPT)が糖鎖に対する特異的な結合性を有することと、特定の単糖との結合によってBPTGの活性化が抑制されることを発見した。さらにBPTGまたはBPTと糖との複合体のX線結晶構造解析により、合計3か所の糖結合候補部位を見出した。本研究では生理的条件下で機能する主要な糖認識部位を明らかにした。 種々の糖とのプレインキュベーションによる活性化抑制効果の解析からGalNならびにGalNAcはプロ酵素BPTGに作用して活性化抑制を示すと考えられた。そこで野生型ヒトトリプシノーゲン(recHPTG)および各糖結合候補部位の主要アミノ酸を置換した3種類の変異型の発現ベクターを作製し、無細胞タンパク質発現系により各タンパク質を調製した。チモーゲン顆粒内のpHであるpH 5.5と、十二指腸内のpH 7.5の2条件下において、糖ビオチニルポリマー(BP)プローブとの結合性を解析したところ、BPTGとHPTGにおける糖特異性の差も明確になったので、Man, Fuc, GalNAcについて調べた。pH 5.5では、α-Man-BP、α-L-Fuc-BPに対する結合性がW216AとY28A変異体において、野生型とR122Aよりも低下した。また、pH 7.5においてα-GalNAc-BPとα-Man-BPに対する結合性が、W216A変異体において野生型と他の2つの変異体よりもやや低下した。以上の結果から、W216、Y28がα-Man、α-L-Fuc結合部位に含まれる可能性が高いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25-26年度にはBPTGのX線結晶解析から示された3か所の糖結合部位候補の内、どの部位が生体内で実際に働く部位かを同定することを目標としている。そこで各部位の中心となるアミノ酸(Tyr, Arg, Trp)をHPTG上でそれぞれAlaに変異させた3種類の変異体トリプシノーゲンを作成し、糖結合活性への個々の部位の寄与を評価した。しかしどの変異体についても,Man, GalNAc、Fuc全てに対する糖結合活性の完全な失活には至らなかったことから、糖結合活性部位は分子上に1か所だけではなく、複数の部位が機能することが示唆されたので、ダブルおよびトリプル変異体を作成し検証を進めている。この解析によりトリプシノーゲン上の糖結合部位の同定は終了する。一方、細胞レベルでのチモーゲン顆粒への選別、輸送、膵液への分泌に対する糖鎖認識の寄与を同定するため、哺乳類細胞(HEK293)にrecHPTGを発現するベクターを導入する実験を既に行い、野生型で発現を確認した。次に糖結合性を欠失したトリプシノーゲン変異体を細胞に発現させ、細胞内局在の比較へと進める段階にあるので、予定以上に進行していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、糖によるトリプシノーゲン活性化抑制の分子機構と、糖結合性の酵素分泌機構における役割を解明することを目的としている。これらの研究に必要な野生型と変異体酵素の発現ベクターを既に作成し、ヒト由来細胞を用いて、タグを付けての野生型酵素の発現が可能であることを確認したので、当初の計画通りに実験を進め、糖結合性を欠失したトリプシノーゲン変異体をHEK293およびヒト膵腺房細胞株に発現させ、細胞内局在の解析を行う。チモーゲン顆粒内への選別送達、輸送と膵液中への分泌における糖結合性の寄与を同定する予定である。
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Research Products
(20 results)
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[Book] Lectins: Methods and Protocols (HIrabayashi J, Ogawa H, Kobayashi Y, Tateno H (Eds.)), Chap. 45. Comprehensive List of Lectins: Origins, Natures, and Carbohydrate Specificities2014
Author(s)
Kobayashi, Y., Tateno, H., Ogawa, H., Yamamoto, K., and Hirabayashi, J.
Total Pages
未定
Publisher
Humana Press
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