2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期依存的な核膜孔複合体構造変化による核移行制御機構とその生理的意義の解明
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25440019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松浦 能行 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10402413)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線結晶解析 |
Research Abstract |
核と細胞質の間の高分子輸送の厳密な制御は、細胞核機能を制御する重要な機構である。この輸送は核膜を貫通する核膜孔を通しておこる能動輸送であり、可溶性の輸送因子群によって担われている。出芽酵母の核内輸送受容体(importin)の一種であるKap121pは、出芽酵母の生育に必須の蛋白質であり、ヒストンやリボソーム蛋白質、さまざまな転写因子や細胞周期制御因子を細胞質から核に輸送する。Kap121pによる核内輸送は、M期特異的な核膜孔複合体構造変化によって制御される。これは細胞周期の正常な進行のために必要な機構であり、私たちはメカニズムの鍵を握るさまざまな蛋白質複合体の高分解能X線結晶解析により、その構造基盤の理解を深める成果を得た。Ste12pやPho4pという輸送基質とKap121pの複合体の結晶構造から、Kap121pが構造既知の核内輸送受容体にはみられない興味深い構造的特徴をもつことが明らかになり、Kap121pが特異的に認識する新規の核移行シグナルが見出された。さらに、Kap121pによって認識される核移行シグナルの一般性を確立するために、他のいくつかの輸送基質とKap121p複合体の結晶構造も解いた。また、Kap121p-RanGTP複合体の結晶構造解析と速度論解析を組合せ、核内でRanGTPが輸送基質の迅速な解離を引き起こす機構を明らかにした。これらの成果は、核膜孔を通過する多様な輸送パスウェイのうちのひとつが選択的に制御される機構の理解を深めるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造解析、機能解析ともに、順調に成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
生化学的・細胞生物学的機能解析により、出芽酵母におけるKap121pによる核内輸送の制御機構のさらなる解析を進める。また、Kap121pによって担われる核内輸送機構の進化的保存性を検証するために、Kap121pのヒトホモログといわれているRanBP5(別名importin-5)についても構造解析と機能解析を行う。RanBP5は疾病に関連する蛋白質の核内輸送も担っているため、創薬のターゲットとしても興味深い。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初想定したほど、物品などの購入に費用がかからなかったため。 試薬・消耗品、旅費などに必要な額を使用する。
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