2013 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質性アミロイド線維凝集過程における生物学的毒性評価とその抑制
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25440027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河田 康志 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40177697)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アミロイド線維 / 蛋白質凝集 / 細胞毒性 / GroES / αシヌクレイン / アントシアニン / ポリフェノール |
Research Abstract |
多くのタンパク質は構造変化によってアミロイド線維というβ構造に富んだ凝集体を形成することが分かっている。特に神経変性病に関わるタンパク質をターゲットにしてそのアミロイド線維形成メカニズムの分子論的詳細と形成される過程で生じる分子種の細胞毒性,さらにこれらの構造を形成する生理学的意義について研究を行っている。本年度は以下について明らかにした。 パーキンソン病発症原因であるαシヌクレインタンパク質を用いたアミロイド線維形成機構について,蛋白質工学的手法を駆使して研究を行い,その核部位周辺の負電荷と正電荷のバランスの重要性を明らかにした。また,筋側索硬化症発症原因タンパク質であるSOD1のin vitroでのアミロイド線維形成とその制御メカニズムに関しても分子内部のジスルフィド結合が重要であることを明らかにした。 さらに,病気とは関連性のないものの,変性条件下では典型的なアミロイド線維を形成することを独自に見出しているコシャペロニンGroESを用いて,その凝集過程やアミロイド線維自体の細胞毒性を調べた。その結果,アミロイド線維形成途中の中間体分子種に高い細胞毒性があることを初めて発見した。また,ポリフェノールの一種であるアントシアニンによって,このアミロイド線維形成がほぼ完全に抑制されるとともに,すでに形成されたアミロイド線維も可溶化されることが明らかになった。また,途中に生じた細胞毒性を示す分子種の形成もアントシアニンによって抑制され,その結果,無毒化されることが判明した。現在そのメカニズムについて詳細を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミロイド線維凝集を形成するパーキンソン病発症原因タンパク質のαシヌクレインやアミロイド線維形成モデルタンパク質であるGroESを用いて,アミロイド線維形成の特徴をクローズアップするとともに,中間体である分子種に細胞毒性があることを突き止め,さらにその制御と毒性の中和できるポリフェノール,アントシアニンの効果を実験的に明らかにできた点で,研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
脳神経変性病に直接関わるタンパク質や白内障に関わるクリスタリンについても同様な方法を調べていく予定である。すなわち,パーキンソン病原因タンパク質のαシヌクレインのアミロイド線維形成中に生じる細胞毒性について,蛋白質科学的にさらに明らかにするとともに,細胞毒性を調べる。また,アルツハイマー病原因ペプチドAβについても同様に細胞毒性を調べ,ポリフェノールのアントシアニンが有効かどうかをさらに追求していく予定である。さらにクリスタリンの凝集にも効果があるかどうかを調べる。
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Research Products
(6 results)