2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25440039
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水津 太 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (90431379)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 細胞極性 / Akt / 一次繊毛 / 嚢胞腎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一次繊毛(primary cilia)を介した細胞極性制御におけるセリンスレオニンキナーゼ Akt の役割を明らかにしたい。近年、primary cilia の構造・機能異常によって様々な疾患が引き起こされる(繊毛病)ことが明らかになってきた。申請者は最近、primary cilia の構造的安定性の保持にAktが必須である事実を掴んだ。本研究計画では、バイオセンサー、さらには細胞内へのシグナル伝達装置として機能する primary cilia の構造的・機能的恒常性維持における Akt の役割を分子生物学、発生生物学的視点から解析し、これまでに知られていない Akt の生物機能の開拓、更には繊毛病や Aktシグナル伝達系破綻に関わる様々な疾患の早期発見、新規治療法確立を目指す。 研究実績として、昨年度は、primary ciliaに存在する新規Akt基質が、primary ciliaの構造維持制御に関与するという仮説の元に、まずその因子の同定を試みた。Yeast Hybrid System法を用い、baitにAkt2とAkt3 isoformをそれぞれ使用した。その結果、Akt2およびAkt3によって単離された遺伝子群のうちその両者に存在するprimary ciliaタンパクInversinを単離同定することに成功した。この因子はAkt1、2、および3 isoformのいずれにも結合したが、他のセリンスレオニンキナーゼ(PDKやPrkAなど)には結合しないAkt特異的結合因子であることがわかった。本年度は、Inversinが新規Akt基質であることを明らかにし、そのリン酸化サイトを同定した。そのリン酸化は、イヌMDCK細胞の三次元培養における管腔様構造に必須であり、Akt-Inversinのリン酸化シグナル伝達が、細胞極性や生体の形作りに重要な役割を果たすことを明らかにした。
|