2013 Fiscal Year Research-status Report
活性型GPCRマーカーを用いたGPCRシグナルの制御機構の解析
Project/Area Number |
25440054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
十島 二朗 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (00333831)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | GPCR / エンドサイトーシス / クラスリン |
Research Abstract |
本年度計画に沿って以下の研究を実施した。「活性化GPCRの選択的エンドサイトーシス機構」については、酵母Ste2受容体のクラスリン被覆小胞への取り込みについて、蛍光標識および放射標識リガンドを用いて活性化GPCRのエンドサイトーシス機構を解析したクラスリン被覆小胞を可視化するために、エンドサイトーシスの初期過程で働くタンパク質を蛍光標識し、クラスリン被覆ピットの可視化を行った。次に、エンドサイトーシス部位に局在することが知られているタンパク質について、その遺伝子欠損変異体を作製し、クラスリン被覆への集積に異常がみられる変異体の同定を試みた。この結果、細胞膜の構成脂質であるホスファチジルセリン(PS)の合成酵素であるCho1の変異体において顕著な異常を認めた。現在、GPCRのエンドサイトーシスにおけるPSの役割について詳細な解析を行っている。 「活性化GPCRのリソソームへの輸送機構(分解機構)の解明」については、本年度の計画通り、蛍光標識マーカーを用いた酵母遺伝子欠損変異体ライブラリーのスクリーニングを完了した。蛍光マーカーの液胞/リソソームへの輸送に異常の見られる変異体を探索した結果、5154種の酵母遺伝子欠損変異体より252種をエンドサイトーシス異常変異体として単離した。これらの中から、GPCRのリガンドへの結合に異常が生じている変異体を除く195種に対して in silicoでのタンパク質間相互作用の解析、脂質蛍光マーカーであるFM4-64の輸送解析を行った。これらの解析の結果, 32種の機能未知タンパク質と, 15種の機能は既知であるがエンドサイトーシスへの関与は未報告であるタンパク質の単離に成功した。現在、これらの単離した変異体について、それらのGPCRのリソソームへの輸送機構における役割について詳細に解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究において、本研究計画で特に重要であったGPCRの輸送異常を示す変異体のスクリーニング完了し、いくつかの変異体の単離に成功した。この成果は、本研究計画の成否の鍵であったため、今後の計画も順調に進むと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、スクリーニングにより同定したタンパク質の機能解析を中心に行う。スクリーニングにより同定したタンパク質については同じ表現型クラスに含まれるものについて、物理的、遺伝学的相互作用を調べ、新しい機能的複合体の同定を試みる。さらに、個々の機能未知のタンパク質についても、それらの細胞内局在、ドメイン構造、および遺伝子変異体の詳細な解析を行い、GPCRのリソソームへの輸送における役割を明らかにする。また、スクリーニングにより同定した変異体の中でリサイクリング経路にも異常を示す変異体を同定し、その遺伝子の機能について解析を進める。これまでの蛍光リガンドを用いたスクリーニングにより、細胞膜への結合量が著しく低下している変異体が複数同定されている。この表現型は、機能的なSte2受容体の細胞膜へのリサイクリング効率が低下している可能性が高いと考えられる。リサイクリング異常を示す変異体について、GPCRのリサイクリングへの関与について調べる。特に、各変異体において、Ste2受容体の細胞内での発現量と局在を調べ、発現量自体には異常がなく、特定の細胞内区画に蓄積している変異体を見出す。さらに、同定したタンパク質については、その局在の解析、Ste2受容体への結合について調べるほか、物理的、遺伝的相互作用のあるタンパク質の解析を行い、Ste2受容体のリサイクリング経路、およびリサイクリングの分子機構を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度には設備備品として微量高速遠心機(Hitachi himac CT13R)を購入予定であったが、メーカー欠品のため年度内の購入ができなかった。 26年度の5月に25年度に購入予定であった微量高速遠心機(Hitachi himac CT13R)を購入する。
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Research Products
(26 results)