2014 Fiscal Year Research-status Report
油中水滴接触膜を応用したイオンチャネル機能に対する脂質効果の一分子解析
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25440067
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩本 真幸 福井大学, 医学部, 助教 (40452122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体膜 / 1分子計測 / チャネル / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、油中水滴接触膜を応用して膜タンパク質一分子機能計測プラットフォームを開発し、KcsAチャネルの単一チャネル電流特性の解析を通して、その有用性を示すことができた。本年度は当該計測プラットフォームの汎用性をさらに高めるため、迅速溶液交換システムの組み込みを試みた。従来の脂質平面膜法においてもチャネル機能測定中に溶液条件を変えることは可能であるが、溶液の完全置換には一般に数十秒以上を要する。これは、脂質平面膜の面積の大きさに起因する物理的安定性の低さから、溶液置換は膜が破れないよう静穏に行わなければならないためである。本研究で開発した計測プラットフォームでは脂質二重膜の面積は極めて小さく(従来法の1/100程度)、膜の周囲の溶液量も少ないという特徴がある。そこで接触膜を形成している油中水滴に直接先端径1~2 umの微小ガラスピペットを刺入し、その先端から目的の溶液を噴射して溶液交換を試みた。蛍光測定および電気生理学測定により溶液交換速度を見積もったところ、接触膜近傍では20 ms以内に目的の溶液に置換されることがわかった。これにより、従来の脂質平面膜法では測定できなかったイオンチャネルの活性化および不活性化過程など、溶液条件の変化に応答した比較的速い現象の解析が十分可能となった。実際、溶液を中性から酸性に迅速に交換した際のKcsAチャネルの活性化(時定数:50 ms)とそれに続く不活性化の過程(時定数:5 s)を観測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標の1つは油中水滴接触膜を応用して膜タンパク質一分子機能計測プラットフォームを開発することであるが、本年度までに汎用性を高めた形でその開発に成功し、論文報告することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに開発・報告した測定法をイオンチャネルの機能解析に応用し、特に膜脂質との相互作用がチャネル機能に与える影響を1分子レベルで解析したい。さらに、イオンチャネル以外の膜タンパク質機能解析への応用も検討したい。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも出張が少なく、旅費の支出が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(消耗品費)に充てる。
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Research Products
(7 results)