2015 Fiscal Year Annual Research Report
油中水滴接触膜を応用したイオンチャネル機能に対する脂質効果の一分子解析
Project/Area Number |
25440067
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩本 真幸 福井大学, 医学部, 助教 (40452122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体膜 / 1分子計測 / チャネル / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに構築した膜タンパク質1分子機能計測プラットフォーム(CBB法)を応用し、KcsAチャネルの単一チャネル電流測定を様々な脂質二重膜組成下で行った。KcsAチャネル活性には細胞膜中にフォスファチジルグリセロール(PG)が含まれる必要があることは、これまでの生化学的な実験で定性的には知られていた。今回この現象を、電気生理学的手法によって単一チャネル電流レベルで捉えた。CBB法で非対称膜を作成し、PGが細胞質側リーフレットに存在すると開確率が10倍程度高くなることを示した。PGは1チャネル当たりのイオン透過速度(コンダクタンス)も増加させたが、その度合いは3倍程度だったので、主要因は開確率の増加であることが明確になった。また、KcsAチャネル分子内のPGの作用点を特定するため、変異体チャネルを用いた系統的な調査を行った。PGは負電荷を有するため、チャネル側は正電荷を有するアミノ酸を変異のターゲットとし、電荷を持たないものに置換した。その結果、チャネル本体から細胞質側リーフレット表面に突出した両親媒性へリックス(M0)に存在するArg11とLys14と特定された。M0ヘリックスに対する蛍光ラベル実験を行ったところ、チャネルが閉構造から開構造となる構造変化の際、M0へリックスがヘリックス軸に沿って膜表面で回転することを明らかにした。この回転によってArg11とLys14がPGの負電荷と相互作用できる配置となり、開構造を安定化していると推察した。
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