2013 Fiscal Year Research-status Report
蛋白質の凝集メカニズムの原子レベルでの解明と化学修飾法による安定化
Project/Area Number |
25440069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池上 貴久 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (20283939)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 凝集 / 単分散 / 磁気緩和速度 / 緩和分散 / 非特異的相互作用 / 疎水的相互作用 |
Research Abstract |
蛋白質 VanX を 13C, 15N, 2H の安定同位体で標識した状態で定常的に大腸菌で大量発現させるための系を確立した。このような標識試薬は高価であるため、なるべく大量の試料を恒常的に調製できるための条件を探すことは重要である。この試料の一連の NMR スペクトルを測定し、主鎖 1HN, 15N, 13Ca, 13Cb, 13Co の信号の帰属をほぼ終了した。この蛋白質溶液の pH を変えながら二次元 NMR スペクトルを測定し、これの凝集の程度を測定した。次に VanX のどの箇所が凝集における糊付け領域になっているのかを見つけるために、NMR の磁気緩和分散を pH 4 の単分散状態にて測定した。VanX は pH が中性に向かうほど凝集が激しくなり、NMR スペクトルのピークが広幅化してくることが分かった。pH 4.0 の時にもっともシャープなピークを示すことから、この条件で単分散状態にあることが分かる。そのため、主鎖の帰属は、この pH 4.0 の条件下で行った。また、pH に対する凝集性は可逆的であった。この pH を4から少しだけ上げると一部のピークに広幅化が生じ始めるので、その条件下で各種の 15N 核スピンの緩和速度(縦緩和、横緩和、NOE)をはかり、残基ごとの交換速度を見積もる必要がある。また、この交換速度を定量的に解析するために同時に緩和分散を測定する必要がある。ここで交換が見い出された残基が、凝集に関わっている表面残基であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NMR の磁気緩和分散を測定するには、何日にもわたる測定時間、および、400 から 950MHz に至るさまざまな大きさの静磁場の NMR が必要である。しかし、そのマシンタイムが混んでいたため、十分な測定時間を確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
十分な NMR マシンタイムを確保し、各 pH 条件において、いろいろな静磁場の大きさの NMR を使いながら、各種 15N 核の磁気緩和速度、および、緩和分散をなるべく早く測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当実験には大量の NMR のマシンタイムが必要であるが、マシンの故障などのため特に超高磁場の NMR が混んでおり、十分な測定時間を確保することができなかった。また、研究代表者の異動の準備のため、H26 年 1 月以降は実験を予定通りに進めることが難しかった。そのため、磁気緩和などを解析するためのコンピュータの購入を H26 年度に延期することとした。 NMR 磁気緩和と緩和分散の解析用、および凝集アルゴリズムの解析用のコンピュータを購入する。さらに異動に伴って新たに試料を保存するための冷凍庫、冷蔵庫などが必要となったため、これらの購入に充てる。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Extraction of recombinant protein from Escherichia coli by using a novel cell autolysis activity of VanX.2013
Author(s)
Kamioka, T., Sohya, S., Wu, N., Maki, T., Matsuda, T., Ikegami, T., Nakamura, H., and Kuroda, Y.
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Journal Title
Analytical Biochemistry
Volume: 439
Pages: 212-217
DOI
Peer Reviewed