2014 Fiscal Year Research-status Report
硫黄細菌由来光活性化アデニル酸シクラーゼの構造機能連関の解明
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25440072
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊関 峰生 東邦大学, 薬学部, 准教授 (60414009)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光受容体 / アデニル酸シクラーゼ / cAMP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光で直接活性化されてcAMPを産生する特異な光センサータンパク質、光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)の活性化メカニズムを明らかにすることを目的として企画されたものである。本年度は、前年度新たに見出されたバクテリア由来の光活性化アデニル酸シクラーゼ(OaPAC)に注目し、これの光応答特性ならびに酵素活性をin vivoとin vitroの両面から明らかにするとともに、X線結晶構造解析に供するための試料調製条件を確立することを目標とした。 1 アデニル酸シクラーゼ欠損大腸菌の機能相補によるOaPACの機能解析 昨年度までの研究で明らかとなったBsPACの機能上重要なアミノ酸残基に注目し、OaPACでこれらに対応するアミノ酸残基に対する置換体をコードするベクターを作成した。これらをアデニル酸シクラーゼ欠損大腸菌株に形質転換し、MacConkey平板培地でのコロニーの着色によりアデニル酸シクラーゼ活性の評価を行った。その結果、BsPACと同様、BLUFドメインのC末端側およびシクラーゼドメインとのリンカー領域に複数の重要なアミノ酸残基を見出すことができた。 2 大腸菌におけるOaPACの大量発現・精製 好冷温細菌由来のシャペロニンを発現する宿主大腸菌(ArcticExpress)を用いて低温で長時間培養することにより、活性を保持した可溶性タンパク質としてOaPACを回収できることを前年度に確認しており、この発現条件を吟味して良好な試料を得る条件を確立した。ここで得られた試料を用い、BLUFドメインの光応答を紫外可視分光により検討し、光サイクルの特徴を明らかにした。また、アデニル酸シクラーゼ活性の金属イオン要求性および基質濃度依存性を明らかにした。さらに、構造生物学の専門家との共同研究を開始し、結晶化からX線結晶構造解析へと進むことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初計画では硫黄細菌由来の光活性化アデニル酸シクラーゼ(BsPAC)を用いてその光活性化メカニズム解明を目指していたが、新たに見出したバクテリア由来の類似タンパク質(OaPAC)に軸足をシフトすることにより、大幅に進展した。OaPACは大腸菌での発現が容易であり、活性を保持した試料の大量調製が可能となったことがその要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において、バクテリア由来の新規光活性化アデニル酸シクラーゼ(OaPAC)の光化学的特性ならびに酵素学的特性の概要が明らかとなった。BsPACに類似した遺伝子をこれまでに公開されたバクテリアゲノム配列中で検索すると、OaPAC以外にも幾つか存在することがわかっており、今後はこれらについても光依存的酵素活性の評価を進めていく。また、OaPAC変異体についても活性評価を詳細に行い、オプトジェネティック・ツールとして優れた特性を持つ光活性化アデニル酸シクラーゼの探索を進める。さらに、積極的なドメイン交換等の手法により新規な光活性化酵素の創出も試みる。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた試薬の国内在庫がなく、年度内納品が無理であることが判明したためキャンセルした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分の消耗品費に合算し、同試薬の購入に充てる。
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