2014 Fiscal Year Research-status Report
小胞体からの小胞輸送を時空間的に制御する分子基盤の解明
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25440079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 健 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00303602)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小胞輸送 / 低分子量GTPase / 小胞体 / COPII |
Outline of Annual Research Achievements |
真核細胞内における小胞輸送において、小胞体(ER)からの輸送小胞(COPII小胞)の形成は、小胞体出口部位(ER exit site)と呼ばれるサブコンパートメントで行われており、このER exit siteが時空間的に制御を受けることによってERからの小胞輸送反応が厳密に制御されていると考えられており、このER exit siteの形成メカニズム、および時空間制御のメカニズムについて解析を行った。平成26年度は、前年度までに出芽酵母で新規に同定したCOPIIコートのサブユニットであるSec23と相同性を示すNel1の機能解析をさらに進めた。細胞内における小胞輸送とNel1の機能との相関を調べるため、ERからのCOPII小胞の形成に関わる因子群とNel1との遺伝学的相互作用を調べたところ、Nel1の遺伝子を欠損させることにより、COPII小胞の形成の調節で中心的な役割を果たす低分子量GTPase Sar1の温度感受性変異であるsar1D32Gと合成的に生育を抑制することから、細胞内におけるNel1の輸送反応への関与が示された。また、Nel1の核への局在について解析を行ったところ、熱ショックなどのストレスに応答してNel1の核への移行が制御されていることを見いだした。現在、Nel1中の核移行に関与するシグナルの同定を試みている。これらのことから、Nel1はCOPIIコートの構成因子ではないものの、Sar1の機能の制御を通じて小胞体におけるER exit siteの形成を調節している可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において設定した今年度に達成すべき項目について、ほぼ全てについて着手し、前年度までに新規に同定した制御因子の機能解析を行い、次年度の研究計画につながる成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に新規に同定したNel1の機能解析をさらに進めるとともに、計画している小胞体出口部位の形成において足場タンパク質が果たす役割について解析を進めるとともに、新規因子Nel1との関わりについても検討を行う。
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Causes of Carryover |
初年度において予想外に機能未知の新規因子が同定され、前年度はその解析に多くの時間を費やしたため、予定していた足場タンパク質の解析を最終年度に回すこととしたため、その実施に伴う物品費等として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に引き続き、小胞体からの小胞輸送を時空間的に制御する分子基盤の解析に伴い、分子生物学試薬、微生物培養培地、生化学試薬、プラスチック製品の消耗品の購入を行う。また、研究補助者の人件費、成果発表のための旅費、および研究成果の論文発表のための費用についても計上する。
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Research Products
(6 results)