2014 Fiscal Year Research-status Report
mRNA核外輸送受容体サブユニットp15のRNA認識機構
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25440083
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片平 じゅん 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (30263312)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 核-細胞質間輸送 / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
核膜を有する真核細胞では、RNAやタンパク質の核-細胞質間輸送は遺伝子発現における必須の過程であり、多くの生命機能発現のための基礎となる。転写されたRNAはそれぞれに特有の輸送受容体により、特異的な積み荷として認識され、核から細胞質へ輸送される。mRNAは、tRNA、マイクロRNAといった他の比較的低分子量のRNAに比べて、構造的な多様性に富んだRNAであり、プロセシングの過程でmRNAに結合するアダプターと総称されるタンパク質群を介して、輸送受容体であるTap-p15ヘテロダイマーに認識され、輸送される。Tap-p15ヘテロダイマー自体もRNA結合タンパク質であり、そのRNA結合活性は、mRNAの核外輸送に必須である。しかしながら、Tap-p15ヘテロダイマーによる積み荷mRNA認識の分子機構については、現在まで十分に明らかにされていない。 RNA結合領域の結晶構造解析から、Tap-p15ヘテロダイマーは、TapのロイシンリッチリピートとNTF2様ドメインの間にあるリンカー配列を介した相互作用により、ヘテロダイマー2分子からなるヘテロ4量体を形成することを見出した。また、ヘテロ4量体中では、RNA結合に関係するアミノ酸残基と核膜孔タンパク質との相互作用に関係するアミノ酸残基が、互いに反対側に配置することが明らかとなった。さらに、ヘテロ4量体形成に必要なリンカー配列に変異を導入することで、モデル基質RNAに対する結合親和性や核外輸送能が顕著に低下することから、ヘテロ4量体がモデル基質を核外輸送する際の構造を示していることが推察された。このような各ドメインの配置は、Tap-p15がmRNAを核外輸送する際に、RNAと結合しながら核膜孔と相互作用する上で都合のよい構造であることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
輸送受容体のRNA結合ドメインの同定、高解像度の構造解析に既に成功し、関連するデータをまとめた論文を既に2報発表した。これらのことから、研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
主としてRNAの構造の不安定さが原因となり、輸送受容体ヘテロダイマーとRNAの三者複合体について高解像度のデータが得られていない。次年度も、モデルRNA側に構造を安定化するような変異や塩基部分への修飾を導入し、構造データ改善を試みる。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に応じて研究費を執行したため、当初見込み額よりも少ない額を執行することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に大幅な変更はなく、前年度未執行の研究費も含め、当初予定通りの研究計画を遂行する。
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