2014 Fiscal Year Research-status Report
粘液細菌におけるチロシン残基のリン酸化を介した情報伝達機構の解明
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25440087
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
木村 義雄 香川大学, 農学部, 教授 (10243750)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細菌型チロシンキナーゼ / 粘液細菌 / チロシンホスファターゼ / dual specificity kinase |
Outline of Annual Research Achievements |
粘液細菌Myxococcus xanthusが有する細菌型チロシンキナーゼBtkAとBtkBの機能解析を行った。レセプターの細胞質領域がチロシンキナーゼ触媒領域を活性化するかどうかを確認するために、チロシンキナーゼ領域のN末端領域にそれぞれのレセプター細胞質領域を結合させると、両キナーゼともレセプターの2番目の細胞質領域によって自己リン酸化及びキナーゼ活性が活性化された。また、BtkBはC末端にあるチロシン残基をリン酸化するが、それらのチロシン残基をフェニルアラニンに置換すると自己リン酸化は見られなくなったが、キナーゼ活性の減少は少なく、C末端のリン酸化はキナーゼ活性には影響を与えないと考えられた。また、BtkBはチロシンキナーゼインヒビターによって活性阻害が見られた。 一方、M. xanthusは100程度の真核生物様キナーゼを有するが、VIbドメインにあるcatalytic loopは、セリン/スレオニンキナーゼやチロシンキナーゼでは見られない配列が半分程度存在する。このうち、活性を有するのに必須アミノ酸が保存されているキナーゼを14選択し、大腸菌で発現後、精製酵素を調製して酵素活性の測定を行った結果、4つのキナーゼは、自己リン酸化反応においてチロシン残基のリン酸化がみられ、このうち2つにおいては高いキナーゼ活性が見られた。しかしながら基質タンパク質ではチロシン残基のリン酸化が見られなかったことから、dual specificity kinaseと推定された。 さらに2つのApaH様プロテインホスファターゼの酵素学的諸性質の検討を行ったところ、1つ(PrpA)は主にチロシンホスファターゼとして機能し、もう1つ(ApaH)は主にアデノシン4リン酸などを分解する酵素として機能していると推定した。また、両酵素に存在する4つのモチーフのうち、2つのモチーフにて違いのあるのアミノ酸を変異させ、基質特異性に関与するアミノ酸を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画しているとおりに研究は進行しており、結果も得られている。今年度、それらの結果をまとめた論文を3報報告しており、初年度と合計すると計6報の論文数となっており、研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、dual specificity kinaseの機能解析を進めるため、保存アミノ酸の変異酵素を作製し、それらの活性測定を行っていくことで活性に重要なアミノ酸の特定を行っていく。また、これらの酵素がチロシン残基をリン酸化する活性が上昇するような変異酵素の作製を試みる。さらに本菌が有するセリン/スレオニンキナーゼを数種類発現後、比活性の測定を行い、既に明らかにしている2種類のdual specificity kinaseとの活性比較を行うことで、本菌におけるdual specificity kinaseの機能について推定したい。
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Research Products
(8 results)