2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25440089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
斉藤 典子 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (40398235)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞核構造 / 核小体 / 細胞ストレス / 栄養飢餓 |
Research Abstract |
核小体は核内で、リボソームRNA 遺伝子座を中心に形成され、リボソーム合成の場として機能する超分子複合体である。核小体で構築されたリボソームは、その後核外に輸送され、細胞質におけるタンパク質一般の産生に機能する。よって、核小体は核内にありながら、細胞質でのタンパク質合成制御に関わり、新生タンパク質を必要とする細胞増殖、種々の細胞ストレスへの応答に役割を持つと示唆されている。また、リボソーム合成は細胞内のエネルギーを大量に消費する過程であることから、栄養飢餓応答や細胞増殖制御などに密接に関わるとされているが、詳細な分子機序は不明である。本研究では、核小体の形成・維持に関わる因子を検索、同定し、作用機序を解明することで、核小体の本態を明らかにすることを目的としている。また、得られた核小体の形成変異細胞を用いて、核小体の形成が、細胞の増殖や栄養飢餓ストレスへの細胞応答にどのような役割を果たしているかを明らかにすることを目指している。具体的には、siRNA ライブラリーを用いたハイコンテントスクリーニングをもとに、ノックダウンすることで核小体の形成に異常を示す因子を同定し、これらを核小体形成関連因子とした。並行して、正常の培養細胞株が、グルコースや血清飢餓状態のもとで、核小体の形成、pre-rRNAの合成、細胞ATP量、細胞増殖などにどのような応答反応を示すかを調べた。これらの条件検討をもとに、核小体形成候因子をノックダウンした細胞について、栄養飢餓状態下での応答にどのような欠陥や変化をしめすか、各細胞表現型を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、およそ1000遺伝子をターゲットとしたsiRNAライブラリーを用いて、減弱によって核小体構造の形成異常を表す因子のスクリーニングを行った。96穴プレート上に生育させたHeLa細胞に、各siRNAで処理し、核小体のマーカー抗体(抗ヌクレオフォスミン、フィブリラリン、UBF抗体)を用いた蛍光免疫染色で核小体を可視化して、形態変化を検証した。その結果、ノックダウンすることにより、核小体の形成不全や異形成などの形態変化を誘導する因子を20程度、同定した。さらに個々について精査したところ、ノックダウンによって、rRNAのプロセッシング異常や細胞増殖の低下が誘導されるものを見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究結果で得られた、核小体の形成・維持に関する候補因子20のうち、最も興味深いもの2つに焦点を絞り、その細胞機能を詳細に解析する。主に、エネルギー代謝やストレス応答機能にどのように関わるかについて解析する。具体的には、各因子の正常および栄養飢餓状態を含むストレス下の細胞での発現や細胞内局在様式を調べる。また、各因子のノックダウンや変異細胞において、ストレス応答シグナルや、細胞内のATP量変化などがどのように変化するかを調べる。
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