2014 Fiscal Year Research-status Report
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25440094
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戸谷 美夏 独立行政法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 研究員 (80455360)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 極性上皮細胞 / 微小管編成 / 微小管マイナス端 / CAMSAP3/Nezha / ノックアウトマウス / 小腸 / Caco-2細胞 / 三次元培養系 |
Outline of Annual Research Achievements |
極性をもつ上皮細胞の微小管は、頂端面―基底面に対して垂直方向に編成され、一定の方向性をもって存在する。微小管のマイナス端は、非中心体微小管として頂端面に向き、プラス端は基底面に向くとされている。本研究では、この極性上皮細胞に特徴的な微小管編成のしくみとその役割を明らかにすることを目指して、非中心体微小管マイナス端に結合するCAMSAP3(Nezhaともよぶ)に着目し、CAMSAP3ノックアウトマウスと、ヒト大腸癌由来Caco-2細胞の三次元培養系を用いた解析を行っている。昨年度までの研究から、小腸上皮細胞における特徴的な微小管編成の構築には、頂端面の細胞膜直下に局在するCAMSAP3が、微小管マイナス端の局在を規定することが必須であることがわかった。また、三次元培養をおこなったCaco-2細胞は、小腸上皮細胞とよく似た表現型を示し、この系を用いての分子機構の解析実験が可能であることが示唆された。平成26年度は、1.CAMSAP3ノックアウトマウス小腸上皮細胞と、2. Caco-2細胞三次元培養系を用いた解析から、それぞれ以下の結果を得た。 1 細胞極性、細胞内小器官のマーカーとなるタンパク質の局在を調べた結果、CAMSAP3ノックアウトマウスでは、細胞膜の極性に乱れは観察されなかったが、細胞の高さが低くなり、核やゴルジ体等の細胞内小器官の配置が乱された。CAMSAP3によって配向される微小管は、細胞内小器官の配置に重要な役割を果たすことが明らかになった。 2 微小管動態のライブ観察をおこない、野生型では頂端面から基底面に向かって走る微小管が、CAMSAP3ノックダウン細胞では、基底面を含む様々な位置から細胞内をランダムに走る様子を観察した。CAMSAP3を異所局在させる実験により、CAMSAP3の局在が、微小管マイナス端の位置を決定するために、必要十分であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Caco-2細胞の三次元培養系を用いた解析が進行した。三次元培養系において、組織サンプルを用いた実験では不可能である、微小管動態のライブ観察をはじめとする、CAMSAP3/Nezhaの分子機構を解析する実験を遂行した。課題の成果を論文にまとめる作業を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
CAMSAP3が頂端面に局在するしくみについての研究をおこなう。研究成果を論文にまとめて公表する。本研究を通して、極性上皮細胞における微小管編成とそのしくみを興味深く学んだ。同じ腸細胞の微小管編成といっても、生体組織と培養細胞では、ある程度の相違があることもわかった。今後、より生体内に近い状態で、かつ、培養細胞系に近い技術・手法を使って実験できる、新しい、極性上皮細胞の微小管実験系についても考えてみたい。
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Causes of Carryover |
継続しておこなっている実験に必要な物品の購入時期のずれにより、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な消耗品(抗体)を購入する。
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Research Products
(1 results)