2013 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質形成期における脳室下帯ニューロン移動の分子機構
Project/Area Number |
25440114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
廣田 ゆき 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00453548)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳室下帯 / ニューロン移動 / ApoER2 / リーリン |
Research Abstract |
これまでの研究により、胎生期脳の脳室下帯にリーリン受容体ApoER2が強く発現し、そのノックダウンによりニューロン移動が異常になることを明らかにした。一方、ApoER2ノックアウトマウスでは皮質層構造が部分的に異常になることが報告されているが、脳室下帯における影響は未だ報告がない。ApoER2 KOマウスにおける脳室下帯内でのニューロン移動への影響を調べるために、子宮内電気穿孔法により、胎生14日の脳室帯で誕生したニューロンを標識し、多極性ニューロンが蓄積するタイミングである48時間後に固定、細胞分布を解析した。その結果、ノックダウンと異なり細胞標識後48時間では細胞分布および神経突起形成に異常が認められなかった。この結果から別のリーリン受容帯であるVLDLRがApoER2の機能を補償している可能性が考えられた。 リーリンシグナルの下流で制御される因子として最近、細胞接着分子N-カドヘリンおよびインテグリンα5β1の関与が報告された。多極性ニューロン移動においてApoER2の機能にこれらが関与するかを検討するために、ApoER2ノックダウンと同時にN-カドヘリンおよびインテグリンα5β1の強制発現を行った。その結果、N-カドヘリン強制発現によりApoER2ノックダウンの表現系が一部レスキューされることが明らかになった。この結果は、ApoER2の脳室下帯における機能にN-カドヘリンによる細胞接着制御が関与する事を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ApoER2ノックアウトマウスにおける脳室下帯ニューロン移動の経時的な解析は概ね予定通り進行している。また、ApoER2の作用機序としてN-カドヘリンとの関連を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ApoER2による脳室下帯ニューロン移動制御の分子機構としてN-カドヘリンとの関連が示唆されたことから、その制御機構の詳細を調べる予定である。発生中の脳においてはN-カドヘリンが転写レベルあるいは細胞内局在の制御を受ける事が知られている。これらの可能性を検討するために、抗体染色、ウエスタンブロット、FACSによる細胞表面蛋白質の変化を検討する。またApoER2のノックアウトにおいてVLDLRがApoER2の機能を補償している可能性を検討するために、ApoER2ノックアウトマウスにおけるVLDLRノックダウン、およびApoER2/VLDLRダブルノックアウトが及ぼす影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度にApoER2ノックアウト、VLDLRノックアウト、ApoER2/VLDLRダブルノックアウトマウスの解析を行う予定であったが、マウス飼育施設の感染事故があり、一時的に解析を中止せざるを得なくなった。そのため、予定していた数のマウスを確保できず、遺伝子導入実験および培養実験の一部を次年度に行う事とした。そのため、それらの実験に用いる予定の遺伝子導入用試薬、培養用試薬、培養用消耗品、対照実験のための実験動物の購入を次年度に行うことした。 既にマウス飼育施設の感染事故の処理は終了し、次年度に各種遺伝子ノックアウトマウスの確保が可能の見通しとなった。よって、遺伝子導入実験および培養実験に必要な遺伝子導入用試薬、培養用試薬、培養用消耗品、対照実験のための実験動物を購入し、研究を遂行することとする。
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Research Products
(3 results)