2016 Fiscal Year Annual Research Report
3次元細胞モデルを使って生体のキラリティーの由来を明らかにする
Project/Area Number |
25440117
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本多 久夫 神戸大学, 医学研究科, 学術研究員 (10289118)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心臓ループ / チューブのねじれ / 細胞頂点モデル / 自己構築 / 細胞のキラリティー / Vertex dynamics |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の形はおもに遺伝子がきめていると考えられているが、数年前にその具体的な道筋の一つを明らかにすることができた。この道筋では細胞の自己構築を記述する「細胞モデル」が必須の役割を果たす。申請した計画の研究目的は細胞モデルを使って、いまだに不思議と感じられる生体のキラリティーを明らかにすることである。不思議な現象として、細胞でできたチューブがらせん状のねじれを形成することがある。哺乳類や鳥類の心臓形成初期にみられるこの現象を説明することをこころみた。 心臓の場合ねじれは左ねじ方向である。これを説明するのに2つの要因を考えた。一つはチューブ側面が不均一に成長することで、チューブ縦割りの半分は他よりも大きく成長すると考えた。もう一つの要因は、チューブを構成している細胞は大まかにはチューブの長軸方向に分裂するのだが、その分裂の方向がやや左に(チューブ表面に垂線を考えると、この垂線を軸として反時計回りに)片寄っているとする要因である。この2要因により上下端を固定したチューブは左巻きらせんにねじれた(細胞頂点モデルを使ってのコンピュータ・シミュレーションによる)。第一の要因はすでにこれまでの実験で確認されており、我々もマウス初期胚の心臓で確認した。第二の要因は、これまでに知られていないことで、我々はマウス初期胚E8.25後の心臓をライブで観察することで、分裂方向の偏りを確認することができた。 このようにして初期胚心臓の左ねじれは、構成細胞のキラルな性質に帰着させることができた。
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