2015 Fiscal Year Annual Research Report
CDPKを利用した植物Ca2+情報伝達網の追跡及びキナーゼ基質特異性変更への挑戦
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25440126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 さらみ 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20282725)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情報伝達 / タンパク質キナーゼ / カルシウム情報伝達 / 基質特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物は進化の過程において遺伝情報の重複させ多様性を獲得してきた。 即ち、一から新奇の情報伝達系を創出する事なく、様々な環境刺激への応答が可能となったのである。 この多様性に基付く分化は、情報伝達の鍵となる相同性の高い構造を持つタンパク質キナーゼ群が如何にして特異的基質を認識し、情報の特異性を確保しているのかという、情報伝達の根幹となる課題を提起している。 植物は、動物界においてカルシウム情報伝達の中核を担うC-キナーゼを持たない。 その代わりとして、植物では植物界特有のCDPK(Calcium-Dependent Protein Kinase)がカルシウム情報伝達の中心的役割を果たしている。我々は、植物ホルモン・ジベレリン情報伝達系路解析の過程において、植物特有のCDPKでは、基質認識能と触媒活性が分離可能である事を解明した。 この結果から、CDPKは、キナーゼ基質特異性変更研究のモデル系として適していると評価している。 この成果を足掛かりとして、キナーゼ基質特異性変更の実験系を確立すれば、構成的生物学分野と連携して理論的に計画された情報伝達経路をもつ多細胞生物の創出に挑戦するための有効な実験的基盤を提供できると考えられる。又、生物が進化の過程において獲得した多様性から特異性を創出した過程の追跡が可能となる。 さらに、応用的に有用な組み換え生物の開発にも重要な支援となると期待している。 キナーゼ基質特異性変更の解析に進むために、まず、植物におけるCDPK作用機構及びジベレリン情報伝達系における機能をより深く理解するための解析に取り組んだ。
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