2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25440130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上口 智治 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 准教授 (20232738)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 配偶子形成 / 減数分裂 / 染色体構造 |
Research Abstract |
胚発生能を持つ配偶子形成の分子機構に迫る第一歩として、野生型植物とmdo1変異ホモ植物における雌雄配偶子形成の過程を形態学的に観察比較した。その結果、変異体では正常な花粉の割合が野生株の約3/4に減少しており、異常花粉は死滅していた。四分子が分離しないquartet変異を導入して異常花粉形成が花粉母細胞の時期に決定されているかを検討したが、結果はそうではなく、減数分裂後に確率論的に異常が発生することを示した。mdo1ヘテロ変異体は半数の花粉がmdo1アリルを持つが、この場合には正常花粉の割合は野生型とほぼ同じで、減数分裂前の胞子体期における何らかの履歴が花粉の異常性を決定する要因になっていることを示唆する。また受精前の雌性配偶子についても形態観察を行い、mdo1ホモ変異体では約1/4の胚珠において、配偶体及びそれを取り巻く母体側の組織に異常が観察された。以上の結果はmdo1変異が胞子体レベルで配偶子の形成に影響を与えていることを示唆する。 変異体表現型を抑圧するサプレッサーの取得に関しては第1次スクリーニングを終え、100株を超える候補が得られた。今後抑圧の程度からさらなる解析に用いる候補を選抜して計画を進行させたい。 mdo1変異の解析と並行して植物体の生長プログラムに表現型を有する新たな変異体premature aging 1 (pma1)の解析をスタートした。pma1は本葉の生長や花茎の伸長が早期に停止する矮性変異体として分離された、劣性一遺伝子座の変異である。本葉の生長における速度論的解析や茎頂分裂組織の形態及び機能について解析を進めている。その結果、植物ホルモンに関わる既存の矮性変異体などとは異なる生長相の転換制御に関わっている可能性が浮上している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mdo1変異体の配偶子形成における異常が現れる時期および減数分裂以前の遺伝子型{表現型)が減数分裂後の配偶子表現型に密接に関与する知見を得られたことは評価できる。花粉から精細胞を単離する技術についてはまだ安定した手技を確立できたと言える状況ではなく、今後の課題である。またサプレッサー変異の取得に関しても初年度予定した一次スクリーニングを終えられた。同時に新規な表現型を示す変異体の解析に取り組めたことは予定にない進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
花粉粒から精細胞を単離する手法についてさらなる検討を行っていくことが課題である。 サプレッサー変異については抑圧表現型の程度によって2次スクリーニングに供する候補を選抜して計画を進行させる。 新規な変異体については原因遺伝子の解明を行うことが喫緊の課題であり、表現型の解析をさらに詳細に行って生長相の転換及び寿命に本当に関係するのかどうかを見極めることが重要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に必要な植物系統の作出やサプレッサー変異体のスクリーニング等、支出の多い分子生物学的実験よりも比較的支出の少ない研究課題が多かったため。 細胞生物学的研究や分子生物学的研究などの高価な試薬・酵素・キットや機器などを活用する実験が次年度は重きを占めると予想されるため、これらの購入に充てる予定である。
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