2015 Fiscal Year Research-status Report
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25440130
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上口 智治 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 准教授 (20232738)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 配偶子形成 / 減数分裂 / 幹細胞 / イオンホメオスタシス |
Outline of Annual Research Achievements |
premature 1 (pma1)変異体についての解析をさらに進めた。pma1の本葉は早期に生長を停止して老化が進行してしまう。この表現型を遺伝子発現の面から確認した。経時的なリアルタイムRT-PCRによって、本葉老化の進行と共にその発現が低下する遺伝子および上昇する遺伝子の転写量を定量した。その結果、前者の遺伝子は野生型に比べてpma1では早期に発現量が低下するのに対し、後者の遺伝子は変異体では早期に発現上昇することが確認された。 pma1の花茎の生長は抽台して数個の花を咲かせた時点で停止してしまう。この表現型は、茎頂分裂組織における幹細胞数を増加させると期待されるclv1変異を導入しても変わらない。茎頂組織を対象にしたリアルタイムRT-PCRによって、未分化細胞マーカーであるSTM遺伝子と幹細胞マーカーであるCLV3遺伝子の発現を調べた。STMの発現はpma1による影響は全く認められなかった。CLV3の発現は、野生型背景ではほとんど変わらず、clv1背景において低下が認められた。しかしながら花茎伸長の早期停止が認められるclv1 pma1におけるCLV3の発現は野生型よりも高く、二重変異株の茎頂表現型をCLV3の発現低下で説明することは困難である。以上の結果は変異表現型の原因として、pma1が幹細胞数に影響したためというよりも、幹細胞機能に直接影響を与えた可能性を示唆する。 昨年度の解析結果から、pma1の原因遺伝子はCNGC20だということがわかっている。ヌル変異であるcngc20-1は野生型同様の生育を見せることから、pma1変異はdominant negativeアリルである可能性が生じた。このことを確かめるため、cngc20-1とpma1のヘテロ接合を作成したところ、両者の中間的な表現型を示した。また野生型背景においてpma1アリルを過剰生産させたところ、pma1様の表現型を示した。これらの結果は前述した可能性を支持する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度のpma1の解析において推測されたpma1変異の遺伝学的特徴付けに対して、それを支持する遺伝学的データ取得に成功するなど、順調に展開していると思われる。 しかしながら年度途中において植物栽培室での害虫発生が起こり、それに対処する数ヶ月間植物栽培実験ができなかったことで遅れを生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
変異体の遺伝学的特徴から考えると、変異チャネルタンパク質が細胞質膜上の他のタンパク質と相互作用することで幹細胞機能等に影響を与えることが考えられる。昨年CNGCの一つが成長促進因子のレセプターと相互作用して下流の細胞内反応に関与していることが報告された。今後はCNGC20と相互作用する因子を同定することを主眼に研究を進行させる。
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Causes of Carryover |
植物栽培室において害虫が発生し、正常化するまで数ヶ月を要した。このため栽培途中だった植物サンプルの作成し直しなど、研究の進行に多大な支障をきたしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度に予定していた実験などに用いる。
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Research Products
(1 results)