2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるUDP-N-アセチルグルコサミン生合成の生理的意義
Project/Area Number |
25440139
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 康 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (80274306)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | シロイヌナズナ / lig変異体 / UDP-N-アセチルグルコサミン / 小胞体ストレス応答(UPR) / リグニン化 / GlcNAcキナーゼ / タンパク質糖鎖修飾 / 温度感受性変異体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、UDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)生成が阻害されるシロイヌナズナの突然変異体及び遺伝子組換体を用い、①植物におけるUDP-GlcNAc生合成の生理的意義の解明、②UDP-GlcNAc欠乏が成長阻害を伴うリグニン異常蓄積を引き起こす仕組みの解明を進めた。 ①温度感受性変異体ligはUDP-GlcNAc新規合成経路に関わる遺伝子への変異により、28℃条件下でUDP-GlcNAc新規合成ができなくなる。一方、糖鎖分解等により生じるGlcNAcからUDP-GlcNAcへの再生経路は植物では知られていなかったが、本研究によりGlcNAcをGlcANc-6-リン酸にすることでUDP-GlcNAc再生経路に戻すGlcNAcキナーゼ(GNK)が植物で初めて発見された。さらにlig変異とGNK破壊を持つ二重変異体を作成し解析した結果、lig変異が現れない18℃条件下でも著しい成長阻害が引き起こされた。このことから、UDP-GlcNAc新規合成と再生の両経路は相関しながら生存に必須の役割を果たすことが示された。 ②lig変異体に、小胞体ストレス応答(UPR)関連遺伝子BiP3プロモーター(p):GUS、リグニン生成関連遺伝子CCR2p::GUS、細胞周期関連遺伝子CYCB1p-DB::GUS、細胞壁ダメージセンサーTHE1破壊を導入し解析を行った。その結果、lig変異体の28℃処理により、UPRが根の基部側で先ず起こり根端方向に広がり、根端分裂組織の細胞分裂活性も著しく低下し、根端の根伸長領域ではリグニン合成関連酵素の発現上昇によりリグニン異常蓄積が起こることが示された。一方、THE1破壊lig系統では28℃処理による根の成長停止及びリグニン異常蓄積が抑制された。この結果は、UDP-GlcNAc欠乏の影響はTHE1を介し伝達され、根の成長停止及びリグニン異常蓄積を引き起こすことを示しており、UDP-GlcNAc欠乏、小胞体ストレス、UPR、根の成長阻害とリグニン異常蓄積の相互関係を解明する上で特に重要である。
|
Research Products
(6 results)