2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物小胞体の可塑性とERボディ形成を可能にする分子装置
Project/Area Number |
25440146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 健志 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (00360339)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小胞体 / ERボディ / シロイヌナズナ / βグルコシダーゼ / 食害 / 傷害 / ダンゴムシ / グルコシノレート |
Outline of Annual Research Achievements |
ERボディはシロイヌナズナより見つかった小胞体由来のオルガネラであり,BGLU23(PYK10)やBGLU21と呼ばれるβグルコシダーゼを大量に蓄積している.ERボディは実生や根の表皮細胞に見られ,本葉では傷害で誘導される.このことから,ERボディは生体防御に関わると考えられた.本研究の目的は,この小胞体より誘導される新しいタンパク質蓄積装置の形成,利用を調べることにより,植物がどのようにして新しい生体防御のメカニズムを獲得したかを調べることである.本年度はERボディの機能に焦点を当て解析を行った.ERボディが形成されないnai1変異体,ERボディのβグルコシダーゼを欠損しているbglu21 bglu23二重変異体を用い,ダンゴムシによる食害の影響を調べたところ,これらの変異体は野生株よりも食害を受けることがわかり,ERボディは食害に対する防御装置として働くことが明らかとなった.シロイヌナズナを含むアブラナ科植物はグルコシノレートと呼ばれる糖化合物から防御物質をつくる.ダンゴムシによる食害の防御にグルコシノレートが関わるかを調べるため,グルコシノレート欠損変異体であるmyb28 myb29 cyp79b2 cyp79b3四重変異体(qKO)を食害実験に供した.その結果,qKOは野生株よりもダンゴムシによる食害を受けることがわかり,グルコシノレートがダンゴムシによる食害の防御に働くことがわかった.ERボディのβグルコシダーゼがグルコシノレートを基質としているかどうかを調べるため,野生株とbglu21 bglu23二重変異体のグルコシノレート代謝をメタボローム解析により調べた.その結果bglu21 bglu23二重変異体はグルコシノレートを代謝できないことがわかった.このことから,ERボディはグルコシノレートを代謝し忌避物質を作り食害の防御に関わることが明らかとなった.
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[Journal Article] Physical interaction between peroxisomes and chloroplasts elucidated by in situ laser analysis.2015
Author(s)
Oikawa K, Matsunaga S, Mano S, Kondo M, Yamada K, Hayashi M, Kagawa T, Kadota A, Sakamoto W, Higashi S, Watanabe M, Mitsui T, Shigemasa A, Iino T, Hosokawa Y, Nishimura M
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Journal Title
Nat. Plants
Volume: 1
Pages: 15035
DOI
Peer Reviewed
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