2013 Fiscal Year Research-status Report
軟骨細胞におけるウロテンシンIIとそのアナログ(URP)の新しい機能の解明
Project/Area Number |
25440152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
今野 紀文 富山大学, 理工学研究部(理学), 助教 (50507051)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウロテンシンII / URP / UTR / urantide / 軟骨 / コラーゲン |
Research Abstract |
ウロテンシンIIの軟骨組織での機能を明らかにすることを目的として、平成25年度は両生類のアフリカツメガエルとマウス軟骨前駆培養細胞に対するウロテンシンIIの作用の解析を行った。アフリカツメガエルの成長段階における軟骨組織でのウロテンシンII受容体(UTR)の遺伝子発現レベルを解析した結果、UTR遺伝子の発現レベルは成熟個体(生後1年)に比べて変態直後の幼若個体(生後2-3ヶ月)で高いことが示された。幼若個体の胸部軟骨組織を単離し、組織培養下においてウロテンシンIIがトランスフォーミング増殖因子(TGF-β1)や軟骨基質の1つである2型コラーゲン(Col2)に及ぼす影響を解析した。その結果、両生類の軟骨組織へのUII添加は、TGF-β1とCol2の遺伝子発現を増加させ、その作用はUTRアンタゴニスのurantideの前処理によって抑制された。また、生体において軟骨形成に及ぼすウロテンシンIIの作用を解析するため、肢を切断した幼若個体の肢の基部にurantideを継時的に投与し、その後のスパイク肢形成を対照群と比較した。その結果、Urantide投与個体のスパイク形成は、salineを投与した対照群に比べて遅延し、さらに軟骨組織の伸長も対照群に比べて有意に短かった。本年度の研究において、アフリカツメガエルの胸部軟骨において、UII-UTR系は軟骨基質の形成に関わるTGF-β1とCol2a1の発現を上方調節したこと、切断肢へのUrantide投与がスパイクの軟骨の伸長を遅延させたことから、UII-UTR系は軟骨組織の成長に寄与している可能性が示唆された。また、これまでに、マウス軟骨前駆細胞にUTRを安定発現させた細胞株を樹立し、この細胞を用いて、ウロテンシンIIの軟骨細胞への作用について解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス軟骨培養細胞を用いた解析はUTR安定発現細胞株の樹立に時間がかかったため少し遅れているが、両生類での解析では、ウロテンシンIIが軟骨基質の産生を増加させ、軟骨形成に関与していることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究では、マウス軟骨培養細胞を用いた機能解析を進めるとともに、UTRをノックアウトしたアフリカツメガエル個体の作製に取り組み、ウロテンシンIIの個体レベルでの作用について解析を行う。
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