2015 Fiscal Year Research-status Report
消化管上皮幹細胞の起源と幹細胞制御におけるNotchシグナル経路の役割
Project/Area Number |
25440160
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
長谷部 孝 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70329027)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 消化管 / 上皮幹細胞 / 甲状腺ホルモン / Notchシグナル / Cre-Loxシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカツメガエル幼生の消化管を構成する上皮細胞は、甲状腺ホルモンの血中濃度が高まる変態期にそのほとんどが除去されるが、 一部が脱分化して成体型上皮幹細胞となる。本研究では、この消化管再構築に関して、(A) 成体型上皮幹細胞の起源、(B) 幹細胞制御 におけるNotchシグナル経路の役割を明らかにすることを目的としている。 A. 予定幹細胞を標識するために、(i) Creドライバー、(ii) Creレスポンダーのトランスジェニック(Tg)ラインの確立を目指している。 (i) では、成体型幹細胞特異的に発現する遺伝子のゲノム上流が、細胞特異的なプロモーター活性があるかどうかを確かめるために、単離した上流領域にEGFPなどのレポーター遺伝子をドライブさせてTg作製を行った。レポーター遺伝子が消化管のどの細胞で発現するかを、得られたF0個体を用いて解析中である。幹細胞特異的な遺伝子として、Hairy1およびRor2を選択し、前者は上流5kb、後者は上流1kbからイントロン1の4kbを含む領域を使用した。(ii) では、Creの作用により赤色蛍光タンパク質dsRedを発現するTgラインの確立を目指している。昨年得られたF0個体が近々成熟するので、F1個体が得られるかを調べる予定である。 B. 変態最盛期に活性化するNotchシグナルをγセクレターゼ阻害剤投与により阻害したところ、Notch応答遺伝子であるHairy1とHairy1bの発現上昇が抑制されることを見出した。さらに、成体型上皮幹細胞のマーカー遺伝子であるLGR5の発現も抑制されることがわかった。本研究により幹細胞の起源と幹細胞制御におけるNotchシグナルの新たな役割を解明することができれば、幹細胞研究の分野でたいへん意義深いものとなる。また、両生類研究において新たな技術を提供することができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的では、(A) ではCreレスポンダーTgラインの確立、CreドライバーTgの作製、(B) ではCreドライバーのTgラインの確立を前提として、プロモーター特異性の解析および幹細胞の起源の探索、Notchシグナル経路の機能解析にそれぞれ進むはずであったが、達成できていない。 理由としては、主として以下のことが挙げられる。 (1) 昨年度までの遅れがそのまま影響している。(2) 昨年度使用したRor2上流3kbの領域に明確なプロモーター活性が見られなかったため、ゲノムクローニングからやり直した。 これまでの遅れを取り戻すために、今年度はTg作製(特に(A-i)のCreドライバーおよびプロモーターの細胞特異性の解析)に注力し、F0個体を得ることができたが、プロモーター活性の解析が完了していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に、Tg作製と解析に注力する。F0でもモザイクではない個体が得られることがあるため、F0も積極的に解析に用いる。 また、近々成熟するTg個体は、F1を得られるかを調べる予定で、いずれかのTgラインが確立すれば、ダブルTgの作製は比較的容易に行えるため、研究の進捗状況は一気に改善されることが期待される。
|
Research Products
(2 results)