2014 Fiscal Year Research-status Report
マーブルクレイフィッシュ光走性スイッチング機構に関する行動生理学的解析
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25440165
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
長山 俊樹 山形大学, 理学部, 教授 (80218031)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 走性 / 二次メッセンジャー系 / cAMP / セロトニン / ドーパミン / 神経スイッチ / マーブルクレイフィッシュ / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
マーブルクレイフィッシュの光走性の性質が光環境によって正・負が逆転する神経機構解明の第2段階として、H26年度では光走性逆転の神経化学的基盤に関して、薬理行動学的解析を行い、(1)セロトニン、ドーパミン受容体の性質、(2)その下流の信号伝達経路を明らかにした。 (1)生体アミンの一種、セロトニン投与により、マーブルクレイフィッシュの光走性の性質が負から正へ切り替わり、別の生体アミン、ドーパミン投与によって正から負へ切り替わる。セロトニン、ドーパミン受容体はGタンパク共役の代謝型受容体であり、それぞれの受容体サブタイプ特異的阻害剤投与による光走性切り替えへの抑制効果をまず解析した。セロトニン受容体には二次メッセンジャーcAMP濃度を低下させることのできる5HT1受容体とIP3レベルを上昇させる5HT2受容体が知られているが、1型受容体のブロッカー投与時にのみ、負から正への応答切り替えは見られなくなった。一方、ドーパミンの受容体には、cAMP濃度を上昇させるD1受容体と逆にcAMP濃度を低下させるD2受容体が存在するが、D1受容体特異的ブロッカー投与時にのみ、正から負への応答逆転は起こらなかった。 (2)セロトニン、ドーパミン受容体の収斂点はどちらも二次メッセンジャー系cAMP信号伝達経路であり、セロトニンはcAMP濃度レベルを下げ、ドーパミンは逆に上昇させる。そこで、cAMPレベルの増減がマーブルクレイフィッシュの光応答の性質を決定しているのではと考え、cAMPアナログを投与したところ、ドーパミン投与同様に、マーブルクレイフィッシュの光走性の性質は正から負へ切り替わった。また、細胞内cAMPはアデニル酸シクラーゼによってATPから合成される。そこで、アデニル酸シクラーゼブロッカーを投与したところ、セロトニン同様、負から正へ光走性の性質が切り替わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実験遂行を通じ、当初我々が描いていた仮説『外部光環境に依存した正・負の光走性応答逆転はcAMPレベルの増減に基づいている』がほぼ実証できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
走性とは遺伝的にプログラムされた生得的行動の基本要素の一つである。一方、動物は経験を通じてその応答パターンを可塑的に変化させる能力を備えている。光刺激を餌の匂いのような報酬と、あるいは忌避性の匂い刺激もしくは電気ショックのような罰と組み合わせて条件付けを行うことで、遺伝的にプログラムされている走性の性質が学習によって可逆的に書き換えられるのか、検証する。 (1)マーブルクレイフィッシュは白色光に対し、負の光走性の性質を示す。そこで一本道迷路にザリガニを入れ、光点灯と同時に餌の懸濁液をゴール側から流し、光=餌と条件付ける。その後、T字型迷路にザリガニを映し、片側のゴールのみ光を点灯し、ザリガニが光アリ側、光ナシ側どちらの迷路を選択するか、解析する。 (2)T字迷路の光ナシ側ゴールに刺激電極をセットし、光点灯時ザリガニがそちらに定位したとき、電気ショックを与える。その後、ザリガニがT字迷路の光アリ側、光ナシ側どちらの迷路を選択するか、解析する。
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