2015 Fiscal Year Annual Research Report
マーブルクレイフィッシュ光走性スイッチング機構に関する行動生理学的解析
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25440165
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
長山 俊樹 山形大学, 理学部, 教授 (80218031)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マーブルクレイフィッシュ / 走性 / 生得的行動 / 習得的行動 / 神経スイッチ / 学習 / 可塑性 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
走性とは遺伝的にプログラムされた生得的行動の基本要素の一つであり、条件付けという学習経験を通じて、その性質が可逆的に変化し得るのか検証を行った。マーブルクレイフィッシュは光刺激に対し、日中は負の光走性を示し、夜間は逆に正の性質を示すことをH25年度の研究遂行により明らかにした。そして、その光走性の性質逆転が脳内セロトニン・ドーパミン濃度変動に基づくサイクリックAMP濃度の違いに変動に依っていることをH26年度の研究遂行から明らかにした。最終年度は日中負の光走性を示すマーブルクレイフィッシュに対し、T字迷路の片側から餌のけん濁液を流すと同時に光を与え条件付けすることで、光=餌と学習し、餌の匂いなしでも光側に定位するようになるか、解析した。条件付けトレーニングを一回し、10分後にメモリーテストを行ったところ、65%以上のマーブルクレイフィッシュは光点灯側の出口を選択するようになり、遺伝的にプログラムされた光走性の性質が学習によって可逆的に変化可能であることが確かめられた。しかし、条件付け30分後に行ったメモリーテストでは、白色光選択率は30%以下に減少した。一方、10分間隔で3回条件付けトレーニングを行った場合には、60%以上のザリガニが30分後のメモリーテストで白色光側の出口を選択、記憶の強化が起こっていることも併せて明らかとなった。また、マーブルクレイフィッシュは緑色光・青色光に対しては日中でも正の光走性を示し、両者の光を同時に与えると、緑色光をより好んで定位する。そこで青色光と報酬を結びつけ条件付けしたところ、ザリガニは有意に青色光側の出口を選択するようになった。
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