2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25440179
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 拓哉 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教 (00452201)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 概日時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラミドモナスは単細胞生の真核緑藻である。分子遺伝学や生化学の手法による研究に非常に適しており、光合成や鞭毛運動の研究において有用なモデル生物として用いられている。我々は、これまでに行った一連の研究で、クラミドモナスの時計遺伝子群を網羅的に同定し、クラミドモナスを時計遺伝子研究の新しい真核細胞モデル系として確立した(Matsuo et al. Genes. Dev, 2008, 22:918-30; Matsuo et al. Mol Cell Biol, 2006, 26:863-70; 松尾ら、蛋白質核酸酵素、2008、53:1873-80)。本研究では、クラミドモナスの時計遺伝子とその産物(時計タンパク質)の解析をさらに進めることで、真核生物の生物時計の分子基盤の理解を進めると共に、光合成生物が持つ生物時計の共通性と多様性の理解を深めることを目的とする。 27年度は、26年度に同定した新規遺伝子B16(仮名)の解析を中心に進めた。B16は時計タンパク質ROC15の光誘導性の分解に関わる因子として同定した。この遺伝子はほぼ全長がロイシンリッチリピートからなる蛋白質で、恒常的に細胞質に発現することを明らかにした。また、この遺伝子の変異体においては赤色光に対するROC15の分解誘導はほぼ完全に消失しているが、青色光に対する応答は正常であることを突き止めた。これらの結果から、B16はクラミドモナスにおいてこれまでほとんど知られていない赤色光受容伝達経路に関わることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的に順調に研究を進めることが出来た。特に新たに同定したB16遺伝子の変異体においては、クラミドモナスにおいてはほとんど知られていない赤色光受容伝達経路に関わることが示唆され、さらに詳細な解析を行うことで、重要な知見が得られると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
B16の詳細な解析を進める。波長特性、概日時計のリセット機構との関連、ROC15のリン酸化との関連等を進めることで、クラミドモナスにおいて未知の赤色光受容伝達経路の解明につながると期待される。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に伴い、当初計画にあった研究テーマの一つである「ROC15蛋白質と概日時計の光リセット」に関して、想定以上の進展が有り、興味深い変異体の分離に成功した。そこで、本補助事業の目的をより精緻に達成するために、その変異体の解析に関する追加実験の実施をするための期間が必要であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子解析及びタンパク質解析に加え、技術補佐員の雇用(2ヶ月)に使用する予定である。
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[Journal Article] Diversity of plant circadian clocks: insights from studies of Chlamydomonas reinhardtii and Physcomitrella patens.2016
Author(s)
2.Ryo, T., Matsuo, T., Yamashino, T., Ichinose, M., Sugita, M. and Aoki, S.
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Journal Title
Plant Signaling & Behavior
Volume: 11
Pages: e1116661
DOI
Peer Reviewed
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