2015 Fiscal Year Annual Research Report
真正細菌と古細菌由来タンパク質のEvolvability
Project/Area Number |
25440194
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
高野 和文 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (40346185)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質 / 進化 / 安定性 / 好熱菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる生物界ドメインを構成する「真正細菌」と「古細菌」において、近年、それらのタンパク質が、アミノ酸組成・配列のみならず、構造物性も異なることが明らかとなってきた。本研究では、これらの違いがタンパク質の進化に影響を及ぼしてきたという仮説を立て、これらのタンパク質の進化実験を行い、両ドメインにおける進化する力『Evolvability』を検証した。特に、タンパク質の構造物性に関しては、安定性に注目した。 まず、好熱性Archaeaタンパク質であるSulfolobus tokodaii由来エステラーゼ(Sto-Est)を用いた進化実験を行った。安定性を保持した変異体と損失した変異体を進化させながら、活性変動を観測することにより、進化過程における安定性と活性の関係を調べた。その結果、活性が低下した変異体が再び復活するには、安定性の寄与が必要不可欠であることと、安定性を保持した変異体の方が、更なる進化を遂げる可能性が高いことなどがわかった。 次に、好熱性Bacteria由来エステラーゼの連続進化実験を行い、好熱性Bacteria由来タンパク質の進化に必要な因子を見い出すことに取り組んだ。その結果、変異により至適温度での活性が低下しても安定性を保持していれば再び復活する可能性があることと、安定性が大幅に低下した変異体は至適温度での復活の可能性は低いが、低温への適応力があることなどがわかった。 以上の結果、安定性は進化過程において必須因子であることが示唆された。タンパク質が有害な変異に耐えて、より良い機能を得るためには、一定の安定性を保持している必要があると考えられる。生物においても、進化過程における長時間の変異の蓄積に耐えるためには、タンパク質の安定性が必要不可欠であったと考えられる。
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Research Products
(3 results)