2013 Fiscal Year Research-status Report
多新翅類の比較発生学-多新翅類昆虫の高次系統・グラウンドプランの再構築-
Project/Area Number |
25440201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
町田 龍一郎 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50199725)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 昆虫類 / 多新翅類 / 比較発生学 / グラウンドプラン / 系統進化 / 高次系統 / 系統分類学 |
Research Abstract |
昆虫類は、全動物種の75%を占める、最も繁栄している動物群であり、昆虫類の98%にあたる新翅類は昆虫類の理解において最も興味深いグループである。そして、その新翅類を論じる上で、本類の爆発的初期放散に直接由来した「多新翅類」は最も重要な昆虫群である。しかし、多新翅類各目の分岐は極めて深く形態的特殊化も著しいために、多新翅類内の系統進化は議論がまったく定まっていない。これにととどまらず、「多新翅類」はそれ自身のステータスさえ再検討されなければならないグループでもある。本研究課題は多新翅類の系統進化、グラウンドプランを比較発生学的アプローチにより検討するものである。 まず、最も力を傾注したのは、発生学的知見が乏しいジュズヒゲムシ目に関しての研究である。この結果、胚発生の外部形態の変化、また、後胚発生に関して、初の充実した論文をものにした。これ以外にも生殖生物学に関わる論文を共著で公表した。結果として、提出してきた「(ナナフシ目+シロアリモドキ目)+ジュズヒゲムシ目」クラスターの妥当性が強く支持された。本クラスターの検討のため、ナナフシ目、およびジュズヒゲムシの最原始系統群 Clothodidae のカルチャー構築、採卵にも努力した。結果、アマミナナフシのカルチャー構築、採卵系を確立した。 ハサミムシ目に関してはデータの補完により全9科の比較発生学の論文を書き上げ、現在投稿に向けての最終段階である。網翅類クラスターの検証に関してはゴキブリ目の最原始系統群の後胚発生を纏め上げることができ Arthropod Systematics & Phylogeny に第1回改訂原稿の再投稿中である。シロアリ目に関しては採卵を行い、組織切片作成を続けた。カマキリ目に関してはその原始系統群であるケンランカマキリ科に関してはカルチャー構築を試み、現在第二世代を得、卵構造の検討が進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画には多岐にわたるテーマを記載した。しかしながら、対象が生物であり、採集、カルチャー構築、採卵の成功があってのテーマであり、そこには明確に書かなかったが、「検討が可能になったものから研究を開始する」ものである。したがって、計画に記載されたすべてが実施できなかったということは仕方ないことと思う。 実施計画において不十分な結果に終ったものは次の項目である。1)Chothodidae に関してはカルチャーを維持しただけに終ったこと、2)キゴキブリの発生学的研究は進んだものの、ホラアナゴキブリに関したはカルチャーを維持したのみで発生学的研究には着手できなかったこと、3)バッタ目、カワゲラ目、カカトアルキ目に関してはまったく進捗はなかったことである。 しかしながら、このような中にあって、ジュズヒゲムシ目の胚発生、後胚発生、生殖学に関する論文がものになったこと、ルリゴキブリの後胚発生に関する論文がリヴァイズ中になっていること、ハサミムシ目の比較発生学が完成したことは、1年間の成果としてあまりあるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
「交付申請書」に記載したように、前年度に達成できなかったこと、すなわち「現在までの達成度」に記した、平成25年度に実現できなかったことに力を注ぐ。この中で、平成26年度はゴキブリ目の発生学の進捗を特に目指す。また、平成26年度よりカワゲラ目の比較発生学的研究をテーマとした学生が研究室にやってくるので、同目の研究の進捗も期待される。平成25年度に着手できなかった材料にバッタ目がある。研究代表者は筑波大学-ドイツ交流協会(DAAD)パートナーシッププログラムに採択され、ドイツイエナ大学とバッタ目の比較発生・比較形態学の研究を開始するので、バッタ目に関しても研究が進み始めることになる。 このように順調に研究は進み始めるはずであり、検討が可能になったものから順次成果が出てくるものと思う。
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[Journal Article] Two separate intromittent organs in Zorotypus caudelli (Insecta, Zoraptera): A seemingly paradox coexistence of an extremely long and narrow tube and a large spermatophore2014
Author(s)
Matsumura, Y., K. Yoshizawa, R. Machida, Y. Mashimo, R. Dallai, M. Gottardo, T. Kleinteich, J. Michels, S.N. Gorb and R.G. Beutel
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Journal Title
Biological Journal of the Linnean Society
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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