2015 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生態系ダイナミクスにおける深海生物の動態の解明
Project/Area Number |
25440204
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮崎 淳一 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80229830)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イガイ類 / ミトコンドリアDNA / 集団遺伝学的解析 / 化学合成生物群集 / 鯨骨生物群集 / 分散 |
Outline of Annual Research Achievements |
イガイ科二枚貝類を主たる対象として、1)シンカイヒバリガイ類の分散に関する遺伝学的研究、2)鯨遺骸のゲイコツマユイガイの遺伝学的・生態学的研究、3)鯨遺骸のヒラノマクラ、ホソヒラノマクラの遺伝学的・生態学的研究によって、海洋生態系ダイナナミクスにおける深海生物の動態を明らかにし、地球表層で広大な容積を占めながら、ともすると見過ごされがちな深海の謎に迫り、その一端を解き明かすことを目的として研究を行った。 今年度は2)と3)について研究を進め、鹿児島県野間岬沖、南西諸島海溝、相模湾の鯨遺骸よりヒラノマクラのサンプルを、また、鳥島海丘の鯨遺骸よりゲイコツマユイガイのサンプルを、海洋研究開発機構の協力によって入手し、集団遺伝学的な解析を行った。その結果、ヒラノマクラは、3地点の間で遺伝的な相違がほとんどみられず、非常に大きな分散能力をもつことが明らかとなった。既に1)の研究で、シンカイヒバリガイ類が大きな分散能力をもつことを明らかにしているので、深海の熱水域や湧水域、あるいは鯨遺骸といった広大な海洋底に不連続に散在している場所に生息しているイガイ類は、大きな分散能力を身につけていることがわかった。ゲイコツマユイガイは鳥島海丘でしか見つかっていないので、地点間で遺伝的な相違を比べることはできなかったが、十年以上経過しても遺伝的な組成が変化していないことがわかった。このことは、最初に鯨遺骸にたどりついたものがその遺伝的組成を変えずに繁殖を続けて来たか、あるいは未知のはるかに大きな生息地があり、そこから同じ遺伝的組成をもつものが分散して来ていることを示している。これらの成果をまとめて欧文論文で発表した。また、これとは別に海洋生態系ダイナナミクスにおける深海生物の動態を明らかにするために、ハナシガイ類、キヌタレガイ類の遺伝学的な解析を行い、学会で発表した。
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Research Products
(3 results)