2013 Fiscal Year Research-status Report
全世界のタイ科魚類の分類的再検討と、赤と黒の体色を持つグループの単系統性
Project/Area Number |
25440216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岩槻 幸雄 宮崎大学, 農学部, 教授 (60213302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タイ科 / 赤いタイ / 黒いタイ / 単系統 / 遺伝学的解析 / 分類学的研究 / 多様性 / 分散 |
Research Abstract |
初年度は まず標本持っていない及び十分でない種類の標本入手を優先し、各分類群の全種の採集調査を行い、系統遺伝学的解析を実施して,その概要を把握することに全力投球してきた. 最優先事項として特に我国でも有名なマダイ属魚類の属と種の問題について最初に検討を行うために,豪州マダイと東アジアのマダイが同一種として形態学的研究から報告されたが(Paulin 1992)、すぐさま 亜種とすべきという遺伝学者からの異論の見解が出た(Taniguchi et al 1996). それらを遺伝学的視点と形態学的視点から動物命名規約に沿って最終結論を得るために,オーストラリアの標本が少なかったが,やっと十分なサンプルを入手出来た.予備調査からニュージランドにも類似種が生息しており、それらの3つのポピュレーションは形態学的に区別でき、遺伝学的にも区別出来ることが分かった,更に遺伝学的視点の情報を更に得て,最終判断をする予定である. 西部太平洋のレンコダイ属(Dentex)、インド洋のPolysteganus 属やタイワンダイ属Aygyropsも、各属で複数種の有効種しか知られていないが(Heemstra and Heemstra 2006; Iwatsuki and Heemstra 2012)、実際には驚くことに10 種以上認められ、既に韓国やアラブ諸国のトロー ルで多く漁獲され、外国に輸出されており、一部の種は乱獲され危機的な種を含むが、その殆どが未記載種であるが,最終結論をえるための組織をようやく西部太平洋の種類の組織を何とか最近協力者から得ることが出来たので,これから分析を行い,それらの属の分類学的レビューを行う. 同様に黒い体色を持つタイ科魚類でも、問題ある属や種が多いが、Rhabdosargus属の未記載種を1種記載でき,昔からかなり問題があり1種とされてきたキビレ類似種群を3新種を含む5種に整理できた.現在ホソクロダイ(仮称)属(Sparidentex)もようやく論文が書ける形態と遺伝学的情報が揃ったので,これから執筆予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調だが,タイ科魚類(Centracanthidaeを含む)の組織片で希少種と普通種でも,一部入手が遅れているものがある.特に近年ABSの問題があり,インドやブラジルは国内法により標本や遺伝学的分析の組織の国外への持ち出しは規制され,研究協力者も厳しい手続きがあるのか,二の足を踏んでいて,共同研究者として入ってもらっても中々前に進んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
現存する種類は可能な限り,世界中から集める方針である.特に種類の多い分類学的未解決の中近東のタイ科魚類,大西洋及び東部太平洋のサンプルが結果が,本研究の方向性と信頼性の要になる可能性があると思うので,サンプル入手に最重要として努力する.
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