2014 Fiscal Year Research-status Report
タイプ標本の再検討に基づく日本産イソギンチャク類の分類の確立と同定ツール開発
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25440221
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
柳 研介 千葉県立中央博物館, その他部局等, 主任上席研究員 (00321852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イソギンチャク / タイプ標本 / Sixten Bock |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き、本邦産のイソギンチャク類のライプ標本の探索、精査を行った。本年は主に、1914年にスウェーデンの扁形動物学者Sixten Bockによって日本近海で採集され、その後Oskar Carlgrenによって記載された種のタイプシリーズを調査した。調査は、スウェーデンのルンド大学動物学博物館、ウプサラ大学進化動物学博物館及びスウェーデン国立自然史博物館において実施し、本邦産および本邦に産すると考えられるイソギンチャク類タイプ標本計35点について外部形態観察または組織切片標本の観察を行い、写真撮影を行った。また、必要に応じて刺胞相観察プレパラートの作成、DNA解析用の組織片の採取、組織切片標本作製用の組織切り出しを行った。 国内における比較標本は,タイプ産地を含む各地(長崎県五島列島、千葉県館山湾、三重県菅島、)において実施し,写真撮影,DNA用組織片の採取,形態観察用の標本作製を実施した.一部個体については,飼育観察中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数種のタイプ産地となっている五島列島では、当該種と考えられる新規標本を採集することができなかった。また、同じく複数種のタイプ産地となっている喜界島での調査を実施することができず、次年度への持ち越しとした。比較検討用に採集した標本からのDNA抽出、目的配列の増幅は順調に進んでいるものの、配列の決定に至っておらず、やや計画から遅れている。 海外博物館におけるタイプ標本調査は当初の計画通り実施することができたが、現地で作成し持ち帰った刺胞観察用のプレパラートの精査が進んでいない。 以上、タイプ標本と新規採集標本から得られるデータの蓄積が進んでおらず、両者の比較検討を行うとした当初計画からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
タイプ標本の精査については、計画通り1機関の調査を残すのみであり、現存する日本産のイソギンチャク類のタイプ標本は全て検討することができる見込みである。また、これらのタイプ標本の外部形態の観察から、おそらく同一種と推測される比較検討用標本を各地から得ることができている。タイプ標本から得られる情報は多くないが、特に分類形質として重要とされる刺胞のデータについて、今後プレパラートの検鏡を着実に進める予定である。 また、比較検討用の標本から抽出したDNAの解析を進めるとともに、タイプ標本からのDNA抽出の可能性を引き続き検討する。 これまでの実績は進行がやや遅れているものの、技術的な問題は生じておらず、得られた標本についてのデータを蓄積していくことにより、当初の目的は達成されるものと考えられる。
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Causes of Carryover |
物品費については、DNAの解析がやや遅れていることから、特に使用期限の定められている高額な試薬の購入を見送った。旅費については喜界島での調査が実施できなかったことに加え、格安航空券を使用するなどして、当初計画より旅費が抑えられた。その他については、DNAシーケンスの外注を見込んでいたが、上記の理由から実施しなかった。これらについては次年度以降にに実施する予定であり、以上により次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費については、特に試薬類を中心に本年度未購入だった物品を購入する。旅費ついては当初計画に加え、昨年度未実施であった喜界島調査を実施する。その他については、準備が整い次第、DNAシーケンスを開始する。以上により、次年度使用額を執行する予定である。
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