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2014 Fiscal Year Research-status Report

タマクラゲ属ヒドロ虫類の新宿主獲得による種分化についての系統進化学的研究

Research Project

Project/Area Number 25440222
Research InstitutionNational Museum of Nature and Science, Tokyo

Principal Investigator

並河 洋  独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (40249909)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsヒドロ虫 / Cytaeis / 宿主特異性 / 固着性動物 / 種分化
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、主に腹足類の貝殻上で生活するタマクラゲ属ヒドロ虫類について、形態学的・発生学的情報と分子情報に基づき系統関係を明らかにし、特異的な動物体上に固着生活するヒドロ虫類の種分化の実体解明に寄与することを目的とする。
平成26年度は、新たな採集器具(ドジャー)を考案して採集効率を高めるとともに、各地の大学附属臨海実験施設の協力により相模湾や館山湾に加えて陸奥湾、富山湾、瀬戸内海から新たな研究材料を入手し、形態的、発生学的特徴並びに分子情報(CO1と16S)を比較した。その結果、Cytaeis uchidaeについては、どの産地でもムシロガイ生貝と固着基盤の特異性において1対1の関係にあることが確認された。また、瀬戸内海や館山湾産のキヌボラ生貝の貝殻上から新たにタマクラゲ属ヒドロ虫が得られた。これらは、昨年度採集したアラレガイ(館山湾産)やハナムシロガイ(相模湾産)の生貝の貝殻上のタマクラゲ属の種(Cytaeis sp.1とする)と同種であり、Cytaeis sp.1は固着基盤の腹足類と1対多の関係であることが明らかとなった。
これまでに得られた分子情報の比較に基づき、C. uchidae(ムシロガイ上), C. kakinumae(ベニフデガイ並びにキビムシロ上), C. nuda(海綿に覆われたヒメナガニシ上), Cytaeis sp.1(アラレガイ、ハナムシロガイ、キヌボラ上)及びCytaies sp.2(ヒメヤドカリ居住の巻貝上)の分子系統樹を作成したところ、大きく2つのグループ(「C. uchidaeとC. kakinumae」とこれら以外)に分かれることが明らかとなった。両グループ内ともにヒドロ虫と固着基盤との関係が1対1のものと1対多のものが含まれていたことから、タマクラゲ属ヒドロ虫類においては固着基盤の特異化は並行して起こったことが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、新たな研究材料を収集し、新たな固着基盤に棲息するタマクラゲ属ヒドロ虫を見出すことができた。さらに、それらも含めた分子系統学的解析により属内の系統関係を推定できたことから、ある程度の成果を得たと考えられる。しかし、研究材料の収集に関しては、平成26年度に予定していた沖縄県を中心とする琉球列島における採集ができなかった。これは、平成26年度中に開催の企画展を2件(1件は一部)急遽担当することとなり、その準備や運営にかなりの時間を費やすことになったためである。貝類図鑑等に掲載されている生態写真からは、琉球列島には様々な腹足類上に棲息するタマクラゲ属ヒドロ虫類の存在が推定される。そのために、日本産本属内の系統関係推定や種分化の実体解明のためには琉球列島での採集は必要不可欠である。それが実行できなかった点が本年度十分な研究をなし得なかった原因と考える。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度は、最終年度であり、懸案であった琉球列島でのタマクラゲ属ヒドロ虫類の収集を遂行する。さらに、これまでの研究で未記載種と考えられる種の記載を進めるとともに、属内の系統関係を含めた日本産タマクラゲ属ヒドロ虫類に関する成果を出版する計画である。
また、他のヒドロ虫類において、幼生の付着・変態にはバクテリアが関与するという報告がある。平成26年度末に動物の体内あるいは体表のバクテリア相を研究する研究者と情報交換をすることができたので、これを踏まえて、タマクラゲ属ヒドロ虫類においても同様に付着・変態にバクテリアが関与するのか、関与する場合は、種特異的な関係があるのかを解明する研究を試みる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] タマクラゲ属における分子系統解析と緑色蛍光発色パターン2014

    • Author(s)
      遠藤一樹・亀田勇一・出口竜作・並河洋
    • Organizer
      日本動物学会
    • Place of Presentation
      東北大学(仙台市)
    • Year and Date
      2014-09-11

URL: 

Published: 2016-05-27  

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