2013 Fiscal Year Research-status Report
渡り鳥種子散布による水生植物のアジアーオセアニア隔離分布の存在と成因の解明
Project/Area Number |
25440224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
田中 法生 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (10311143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 進化 / 水生植物 / 隔離分布 / 渡り鳥 / 種子散布 |
Research Abstract |
本申請研究は、南北両半球の温帯域に隔離分布する種の存在と成因を、渡り鳥による長距離種子散布を仮説として、分子系統解析および遺伝的構造解析を用いて明らかにしようとする初めての研究である。 2010年代以降、長距離散布が隔離分布の成因であることを示唆する衝撃的な知見が得られてきた。それに加えて、本申請研究の遂行により、長距離散布による同一種の隔離分布の存在と成因が明らかになり、地球全体の長距離隔離分布の成因の解明に重要な知見を示すことができると考えられる。 25年度は、対象水草種のうち、ヒロハノエビモ(ヒルムシロ科ヒルムシロ属)とホソバウキミクリ(ガマ科ミクリ属)について、日本国内およびニュージーランド・オーストラリア南部他、生育各地の詳細な生育地情報を、文献および標本から収集した。これをもとに、日本国内およびニュージーランド・オーストラリア南部等において、調査・採集を行い、解析に必要なサンプルを採取した。 これらのサンプルに、既存のサンプルを加えて、CTAB法により葉からDNAを抽出し、ダイレクトシーケンスによって、解析に用いる遺伝子領域の検討を行った。その結果、ヒルムシロ属には、葉緑体DNAのtrnT-trnFと核DNAのITS領域が、ミクリ属には葉緑体DNAのrbcL、matK、rpoB、rpoC1、psbM-trnD、trnC-petN、核DNAのphyC、が増幅可能で、かつ解析に有効であることが明らかになった。これの領域について、各属の他種とともに、塩基配列の決定を進めている。現在、ミクリ属については15種40サンプルの解析がほぼ終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミクリ属、ヒルムシロ属については、予定よりも進展している。一方、サジオモダカ属、バイカモ類については、サンプリングが遅れている状況だが、研究の効率的な進行のための時間差であるため、全体としては順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ミクリ属に関しては、このペースで進行させて、予定よりも早く2015年度の論文投稿を目指す。他の分類群については、当初の予定通りに進むように行う。特別な方針転換は必要無いと考えている。
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Research Products
(6 results)