2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25440225
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
北山 太樹 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (20270407)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 小笠原 / 海藻相 / 深所性 / 藻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
小笠原諸島周辺の海域は、従来の日本海藻相区分にあてはめにくい特異な海藻相を有する。本研究は、この海域の特性を明らかにすることを目的に、ドレッジ調査を行って深所性海藻相を調べるもので、本年度は昨年度に引き続き、平成26年6月に父島近海でドレッジ調査を行った。 東京都島しょ農林水産総合センター・小笠原水産センターの協力で、同センターが保有する調査船「興洋」によって60m以深の海底から深所性の海藻数種が採取された。そのなかには初年度に得られたものとは別に、アオサ藻類(海産緑藻類)のアミモヨウ属とシオグサ属、褐藻類のニセアミジ属、紅藻類のトゲナシマダラ属とユカリ属などのものが含まれ、いずれも形態的に日本産の既知の種にあてることが容易ではなく、前年度分も含め、いまのところ多くが新種もしくは日本新産種であると考えている。しかしながらどの藻種もまだ成熟個体が得られておらず、サンプル数も少ないので、今年度は異なる時期により多くのポイントで調査を行って、充分な試料を得る計画である。 また、父島沖から採集された紅藻類の試料の解剖学的観察をすすめた結果、紅藻の1種 Aneurianna ogasawaraensis Kitayama (新和名:スジアリグサ)を記載・発表した。しかしながら成熟個体が得られていないので、 今年度の調査で再採集を試みる。 ここまでの調査によってもすでに、小笠原諸島が日本列島とは異なる海藻相を有することがうかがえるので、総括として深所性海藻相の比較による小笠原諸島を含む日本の海藻相区分の再検討を行いたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本調査では、東京都島しょ農林水産総合センター・小笠原水産センターの協力を得て、同センター調査船「興洋」を利用させていただいているが、昨年度は年度後半に小笠原近海で発生した中国漁船サンゴ密漁の対策のために同船が駆り出されたため、2回目の調査(母島沖)を断念した。
|
Strategy for Future Research Activity |
東京都島しょ農林水産総合センター・小笠原水産センターの協力により、調査回数を増やす。とりわけ母島沖でのドレッジ調査を行う。 また、最終年度であるので、採集結果に基づき総括を行う。
|
Causes of Carryover |
主に下記の理由による:1)台風などによる天候の悪化により、しばしば東京都島しょ農林水産総合センター・小笠原水産センターの調査船の出港が妨げられた。2)年度後半。サンゴ密漁を行う中国船への対策に同センター調査船が駆りだされた。3)採集調査の遅れにともない、深所性海藻の採取に適した採集器、ドレッジ装置の選定が難航し、発注が遅れている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、小笠原諸島父島および母島において2回の採集調査を実施する。また、それに際し、遅れていたドレッジ装置の購入を行う。
|
Research Products
(2 results)