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2014 Fiscal Year Research-status Report

わが国の常緑針葉樹林の長期動態特性とそれに及ぼす気候変化の影響に関する研究

Research Project

Project/Area Number 25440233
Research InstitutionGunma University

Principal Investigator

西村 尚之  群馬大学, 社会情報学部, 教授 (10387904)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords常緑針葉樹林 / 樹木群集 / 長期モニタリング / 成長動態 / 個体群動態 / 樹種共存
Outline of Annual Research Achievements

当該年度は,北方針葉樹林に設置した二次林1ha調査区において樹高≧1.3mであった幹の毎木調査を実施し,北方針葉樹原生林2ha調査区における2000年以降の4回の樹高≧1.3mの幹のモニタリングデータと,二次林1ha調査区における2006年以降の3回の樹高≧1.3mの幹のモニタリングデータから,構成樹種の成長動態についての比較解析を行った.原生状態林分における2001-2004年,2005-2008年,2009-2013年の3期間の樹高≧1.3mの全樹木の胸高直径平均成長速度は,それぞれ1.73,1.83,1.64 mm/年であった.一方,原生状態に達していない林分における2007-2009年,2010-2014年の2期間の樹高≧1.3mの全樹木の胸高直径平均成長速度は,それぞれ1.45,1.13 mm/年であった.原生状態林分では2009-2013年の胸高直径成長速度は2005-2008年に比べてやや小さかった.一方,原生状態に達していない林分では2期間の胸高直径成長速度に有意な違いが検出され,2010-2014年の胸高直径成長速度は,2007-2009年の期間に比べて平均的に約20%小さかった.また,各樹種の平均成長速度においても(特に原生状態に達していない林分において)同様の傾向があった.さらに,どちらの林分でも成長速度の期間変化における樹種間の差が検出され,原生状態の林分では2009-2013年におけるエゾマツの成長速度は,2005-2008年の期間に比べて小さく,同様に,原生状態に達していない林分での2010-2014年におけるエゾマツの成長速度は,2007-2009年より有意に小さかった.一方,トドマツやアカエゾマツでのこのような傾向は有意ではなかった.この現象に関して気象統計データとの対応を調べた結果,各年の成長期間前の冬期や早春の寒さとの関連性が推察された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の目的は,わが国の常緑針葉樹林における樹木群集動態特性の解明とそれに及ぼす中長期的(15~25年)な気候変化の影響に関する知見を収集することである.それぞれの調査地が日本の各地にあるために,すべての調査区を同時に当該年度内に調査はできず,本年度は2カ所で現地調査を実施した.また,そのうちの1カ所において過去15年程度の毎木データベースを使用しての予備的な解析を試みた.さらに,森林の温度環境を収集するためには年間通しての測定が必要であり,前年度に引き続き各調査区内に温度記録装置による観測を実施しており,データが収集できた部分については解析を行い,次年以降にとりまとめる予定である.

Strategy for Future Research Activity

前年度と同様に,順次,他気候帯の常緑針葉樹林に設置した大面積モニタリング調査区における毎木調査を行い,最新の動態データの収集と過去20年程度の毎木データベースを活用して,日本の代表的な常緑針葉樹林の動態特性を整理する.そして,これらの情報からわが国の多様な常緑針葉樹原生林における樹木群集の時系列的・空間的な変化に及ぼす要因を定量化し,一般化できる森林生態学的な知見を確立することを目標とする.
次に,上記のような樹木群集の動態パターンに及ぼす中長期的(15~25年)な気候変化の影響に関する知見を整理するためには,気象統計情報のアメダスデータの有効性を判別し,統一的な基準での解析が必要となる.そこで,特に林内温度環境については,本研究課題期間中に得られる調査区内の温度記録データと調査地に隣接するアメダス観測データとの相関を科学的に説明することを検討する.その場合,標高差による気温低減率(0.55℃/100m)やアメダス観測点の地理的位置なども考慮する.さらに,アメダス観測データからの降水量や日照時間などや,これまでも強く指摘されている台風などの撹乱要因なども加えて統一的・定量的な指標項目を検索して,これらの気候環境因子・気象撹乱因子などが樹木群集のどのような動態パターンに影響し,それらの影響がどの程度の数値として示されるかを解析する方法を検討する.

Causes of Carryover

2014年9月27日に発生した御嶽山火山噴火の影響により,本研究対象としている調査地が入山規制範囲となったため,当該年度に予定していた10月以降の温度測定機器の回収と一部の樹木調査が中止になった.

Expenditure Plan for Carryover Budget

27年度においての温度測定機器の回収.及び,一部の樹木測定調査を行うための現地旅費として充当することを予定している.

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 北方針葉樹林におけるトウヒ属とモミ属の稚樹の動態に及ぼす林床環境の影響2015

    • Author(s)
      西村尚之・赤路康朗・鈴木智之・長谷川成明・小野清美・隅田明洋・原登志彦・飯田滋生・関 剛・倉本惠生・杉田久志・中川弥智子・松下通也・廣部 宗・星野大介・稲永路子・山本進一
    • Journal Title

      低温科学

      Volume: 73 Pages: 7-19

    • DOI

      doi:10.14943/lowtemsci. 73. 7

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 北方林・亜高山帯林におけるモミ属・トウヒ属数樹種の稚樹成長と林床環境の関係2015

    • Author(s)
      西村尚之・赤路康朗・鈴木智之・清野達之・星野大介・杉田久志・松下通也・中川弥智子・原 登志彦
    • Organizer
      日本生態学会62回大会
    • Place of Presentation
      鹿児島市
    • Year and Date
      2015-03-21 – 2015-03-21

URL: 

Published: 2016-05-27  

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