2014 Fiscal Year Research-status Report
外来種アルゼンチンアリのパーソナリティ特性とスーパーコロニーの進化機構の解明
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25440246
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
井上 真紀 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80512590)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スーパーコロニー / 社会性昆虫 / 行動 / パーソナリティ / アルゼンチン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、以下の研究を実施した。 1. 平成25年度に採集した原産地アルゼンチンのBuenos Aires市内・近郊、Entre Rios州およびアンデス地方Salta、La Riojaのサンプルに加えて、Mendoza、ChubutおよびLa Plataにおいても共同研究者Carolina Paris (Ciudad Universitaria)の協力によりアルゼンチンアリの採集を実施した。 2. 原産地におけるサンプルを用いて、ミトコンドリアDNAの遺伝解析を行った。その結果、Salta、La Rioja、Buenos AiresおよびEntre Rios州2都市の3つのクレードに分けられた。ヨーロッパに侵入したCatalonian supercolonyはSaltaと、東京都に侵入したTokyo supercolonyはLa Riojaと、日本および世界各地に侵入している数スーパーコロニーはBuenos Aires・Entre Riosと同じクレードに属した。兵庫県神戸市に侵入したKobe C supercolonyは、いずれのクレードにも属さなかった。これらのことから、侵入地のスーパーコロニーの起源は、大きな貿易地点であるBuenos Airesを中心としているが、内陸部の都市に生息する個体群も起源となっていることが明らかとなった。 3. 侵入地である日本では、体サイズが重複する在来種と競争排除の関係にあり、アルゼンチンアリが侵入した地域では個体数が大きく減少することが知られている。一方、原産地ではアルゼンチンアリとPheidoleの1種が同所的に分布しており、他種との共存関係が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
原産地アルゼンチンでのサンプル採集およびスーパーコロニー間の系統関係の推定は順調に進んでいるが、在来種との優劣関係については研究が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は次の研究計画を実施する。 1. スーパーコロニー間の系統関係の推定:ワーカーのミトコンドリアDNA解析を行い、得られたデータを整理してスーパーコロニーの系統関係を明らかにする。 2. 原産地アルゼンチンにおけるスーパーコロニーの行動:原産地アルゼンチンにおいて複数の敵対性スーパーコロニーの敵対性レベル、逃避行動、集団敵対行動を調べる。また、世界中に広く分布する巨大スーパーコロニーとアルゼンチンにおいて広く分布するスーパーコロニーの敵対性試験により、侵入コロニーの起源を明らかにする。 3. 各スーパーコロニーと在来種との優劣関係:室内飼育コロニーを用いて、アルゼンチンアリの各スーパーコロニーと在来種の敵対性レベル、逃避行動、集団敵対行動を調べる。
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Causes of Carryover |
他の研究費の予算を用いて購入した遺伝解析用の試薬・消耗品を本研究でも使用したほか、学会等の出張費を使用できたため、本研究費からの出費が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にアルゼンチンに行き、現地でサンプルを採集、現地で行動観察を実施する予定である。
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