2014 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害者の反響定位に関わる放射音の考案と訓練方法の開発
Project/Area Number |
25440257
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 孝文 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70144061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 陽一 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (50584265) [Withdrawn]
田内 雅規 岡山県立大学, 保健福祉学部, その他 (00075425)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エコロケーション / 視覚障害者 / 純音 / 周波数特性 / 放射音 |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】エコロケーションは視覚障害者が環境を認識するのに非常に有用な技術であり、経験的に体得している人もいる。しかし、一般には体得は容易ではなく、訓練方法も定まっていない。反響定位に効果的な音や訓練方法が明らかになれば、視覚障害者の単独移動に役立つと考える。そこで本研究では、反響定位に効果的な放射音を明らかにすること及び訓練手法の開発を目的としている。H26年度は周波数の異なる純音を放射音としてどの周波数が反響定位しやすいかを調べた。 【方法】被験者に様々な放射音に対する反射音を手際よく聞かせ、かつどの被験者にも同一音刺激ができるように、反射記録音をイヤホンできかせる方式をとった。ダミーヘッドの前に設置したスピーカから試験音(持続時間1ms又は2ms純音、70dB)を1秒間隔で吹鳴させ、反射音をダミーヘッドで録音した。周波数は0.5、1、2、4、8、12kHzとし、スピーカと反射板の距離は0.5、1、1.5、2、2.5mとした。被験者はイヤホンで反射記録音を聞き、反射板の有無、距離、確信度を回答した。 【結果】被験者3名で行ったところ、有無、距離、確信度について2kHz以上の周波数でよい成績が得られ、中でも4kHzが良好な成績であった。反射板がない場合の回答は2kHz以下では正答率が低く、4kHz以上では95%以上と高かった。確信度は2kHz以上からは一定して1kHz以下より高く、4kHz以上での自信は非常に高かった。 【結論】反響定位に効果的な放射音には4kHz~8kHz前後の音が適すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度はエコロケーションにおける放射音周波数の定位に及ぼす効果検討を計画した。H25年度の実験セットを改良し、イヤホン刺激による方法のシステムを作成して実験を行った。純音放射を用い、3名の被験者でおこなった結果一定の傾向を得た。H26年度では純音についてのみであるため、さらに複合音にて開発を進める必要がある。以上より達成度は総合的に80%程度と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に沿って進める予定である。H27年度前半期は引き続き純音周波数と定位しやすさとの関係を調べる。また物理的解析として被験者の耳に入る干渉音の周波数特性の変化を調べ、変化が反響定位にどのように影響しているかを検討する。被験者は晴眼者と視覚障害者とし、両者の結果を比較する。次に、複数の純音を組み合わせた複合音を用いて反響定位実験を行う。組み合わせは低、中、高各蕗城について、同域内での組み合わせ及び他城との組み合わせについてその効果を調べる。また有色雑音で定位効果が高まるかを調べるため、各周波帯域内に中心周波数を持つ有色維音について定位効果を調べる。これらの結果を基に最適な音を考案する。 後半期からは、考案した音を用いて反響定位訓練法の開発を行う。定位内容は反射板の有無、距離、方向、サイズ、形とし、基本レベルである有無識別の訓練方法の検討から始める。反射板の有る条件と無い条件の対で提示してどちらが有る場合かを識別する訓練を行い、続いてある場合と無い場合をランダムに提示しての訓練を行う。次に距離について行うが、基本的には有無の場合と同じ方法をとる。2種の距離で対の提示で訓練を行い、技能を習得した段階で距離の種類を2から3に増やす。識別が可能になった段階で有無と距離を組み合わせた条件での識別の訓練を行う。次いで方向(正面、左、右)の違いに移り、距離と同じ方法で訓練する。これが出来た段階で有無、距離、方向を組み合わせて訓練する。音環境としては最初は無音、次に疑似的屋外環境音下と進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)