2014 Fiscal Year Research-status Report
安定同位元素比分析の身元不明遺体の出身地域の推定への応用
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25440258
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
染田 英利 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (70627695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 肇 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70145225)
米田 穣 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30280712)
橋本 正次 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50138682)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 安定同位体比分析 / 出身地推定 / 戦没者遺骨鑑定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度も引き続き、地域別リファレンスの作成として地域別の試料収集、分析、統計学的検討を行った。試料収集状況としては、歯科臨床の場からの試料(抜去歯牙)の収集は、国内では既に600以上の検体が収集されている。国外についてはサウジアラビア60本、パプアニューギニア60本の2か国である。 分析として先ず東京歯科大学解剖学講座所蔵の1878年生まれから1970年生まれまでの連続した日本人歯牙標本集(N=161)を用いて、エナメル質中の炭酸塩に含まれる炭素及び酸素の同位体比を計測した。気候の違いを反映する酸素同位体比では時代を通じて有意な変化は認められなかったが、食性変化を反映するといわれている炭素同位体比では1945年を境に有意に戦前生まれ日本人(N=97)に比して戦後生まれ日本人(N=64)が高いことが認められた。これは戦前戦後の日本人集団の食習慣の変化を反映するものと考えられた。このことから、日本出身者集団についての炭素同位体比による地域推定を行うには、戦前あるいは戦後生まれかについて考慮する必要があるといえる。実際、先の大戦の日米戦没者の分別への適応を想定して、日米両者の分別が可能かについてロジスティツク回帰分析による検証を行ったところ、1945年以前誕生の日本出身者(N=97)とアメリカ出身者(1960年以降生まれ, N=202)では正答率100%、1946年以降誕生の日本出身者(N=64)との判別では正答率76%が得られ、正答率に違いが見られた。結果としては、少なくとも海外戦域での日米没者の遺骨判別には高い成績が得られることがわかった。 以上の内容は2014.11.01第68回日本人類学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同位体比分析による出身地域推定に用いる基礎試料としては概ね日本国内の試料収集は、おおむね順調に推移している。分析に関しては、予算的、時間的な制約でやや遅れがみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、歯牙エナメル質中の炭酸塩の炭素及び酸素元素の同位体比の計測をおこなっているのみである。27年度はこれに鉛、ストロンチユウムの重元素の分析と歯牙象牙質中のコラーゲン繊維に含まれる炭素、窒素の元素の分析を進める予定である。 また、研究協力者の協力のもと出来るだけ多くの国内外の地域から数多く歯を集め、分析を進める。 得られた成果は学会等での発表で広報するとともに、専門学術誌への論文投稿を図る。
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Causes of Carryover |
試料の分析行程の若干の遅れにより、当該年度執行予定分が次年度となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予算の許す範囲内で、出来るだけ多くの試料の分析を行うとともに、論文作成等の研究成果のとりまとめを進める。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 同位体比分析を用いた出身地域推定についての検討-その2 日本と米国出身者との判別-2015
Author(s)
梅谷健作, 鈴木通彦, 今美智子, 薄井秀樹, 小澤幹夫, 田島聖士, 加藤健二, 阿部嘉裕, 染田英利, 高橋俊幸, 佐藤泰則
Organizer
防衛衛生学会
Place of Presentation
東京都世田谷区
Year and Date
2015-02-06 – 2015-02-06
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