2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel breeding materials by introducing microscopic chromosome regions from the wheat wild species for expanding diversity of wheat flour quality
Project/Area Number |
25450007
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田中 裕之 鳥取大学, 農学部, 准教授 (70283976)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 品質・成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
小麦粉品質の主要因である生地強度には、小麦粉中に約10%含まれる種子貯蔵タンパク質の種類と量が大きく影響する。これまでに、コムギの近縁野生種においても、コムギと類似した種子貯蔵タンパク質が多数報告されている。 そこで本課題では、前年度までに、これまでに私たちが収集・育成・維持してきた均一な遺伝的背景の中に、様々なコムギ近縁野生種が持つ染色体が1対ずつ添加された系統を用い、小麦粉の生地強度を評価した。その結果、遺伝的背景である系統の生地強度を1.00とした場合、添加された野生種染色体の種類によって、生地強度は3.24~0.55倍に大きく変動した。さらに、生地強度の変動に関与する野生種由来の有用な種子貯蔵タンパク質を76種類見いだした。また、これら野生種由来種子貯蔵タンパク質遺伝子を効率的にコムギへ導入するため、野生種染色体を識別できる45個のDNAマーカーを整備した。次に、有用な種子貯蔵タンパク質遺伝子が座乗する染色体腕をロバートソン型転座を誘発してコムギ染色体へ導入した系統を育成した。その際、上記のDNAマーカを用いることで効率的な選抜を行った。 最終年度は、野生種染色体の不要な部分を削除してコムギ染色体に置き換えつつ、有用な種子貯蔵タンパク質遺伝子が座乗する野生種染色体の微小領域のみをコムギに導入するため、コムギ染色体と野生種染色体との対合を人為的に誘発させた。その結果、コムギ染色体と野生種染色体間で、対合に続く組換えが起こり、目的とする有用な種子貯蔵タンパク質遺伝子が座乗する野生種染色体の微小領域のみがコムギに導入された系統を得ることができた。
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