2014 Fiscal Year Research-status Report
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25450008
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武田 真 岡山大学, その他部局等, 教授 (40216891)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オオムギ / 遺伝子 / 芒 / 光合成 / イネ / QTL |
Outline of Annual Research Achievements |
オオムギの芒は穂先の針状器官で、光合成を活発に行い収量に貢献するとともに、鳥獣害の防止や乾燥ストレスの軽減に役立つ重要な役割を担う。今年度は短芒遺伝子short croocked awn(sca)の分子マッピングを行った。sca遺伝子は3H染色体長腕基部部よりに位置することがDNA分子マーカーを用いたマッピングで明らかになった。この遺伝子は半矮性遺伝子渦性遺伝子(uzu)に約5cMの遺伝距離で連鎖し、動原体に近い側に位置することを明らかにした。3H染色体長腕の同様の位置に、以前米国ミネソタ大学のMuelbauer博士らの研究グループがオオムギ品種・系統HarringtonとOUH602の交雑分離集団を用いたQTL解析で芒長にかかわるQTLを検出し論文報告している(2006年Genome)。scaは芒長を約半分に短縮し、芒を繊細でしなやかにする顕著な効果があり、前者の報告したQTL(LOD値低い)とは表現型に及ぼす効果が異なっている。しかし、sca遺伝子と3H芒長QTLは同じ遺伝子座である可能性はあり、突然変異の様式が異なることが表現型への影響の強弱を変更することは十分考えられる。今後sca遺伝子単離を推進し、3H芒長QTLとの異同を解明する必要がある。オオムギ3H染色体はゲノム配列が完全に解読されたイネとの配列の類似性からみてイネ1番染色体に対応することが報告されている。オオムギ3H染色体のsca候補領域とイネ1番染色体との遺伝子の並びに類似性がみられることを利用して、sca遺伝子単離を推進することが可能と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オオムギの芒の長さを決める重要遺伝子のうち人為的に誘発されたsca短芒遺伝子が精密にマッピングされた。さらに、sca遺伝子の近くに自然変異で生じた芒長にかかわるQTLが検出されており、両者は遺伝的効果は大きく異なるものの、マップ情報からみて、同一遺伝子である可能性が高い。芒を短縮する効果の大きい人為誘発対立遺伝子を用いて、遺伝子単離を加速し、sca座の自然変異の生態学的および農学的意義について解明する道筋が見えてきたことが、予想していなかった大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は研究の最終年度にあたる。sca遺伝子を中心に遺伝子単離を迅速に進め、オオムギ内での人為変異と自然変異の両方の芒長表現型におよぼす影響と、適応的意義ならびに農学的な光合成への寄与を明らかにすることを目指す。そのために分子遺伝学的解析ならびに形態学的解析を行う。遺伝子の発現パターンの解明と遺伝子が細胞形態におよぼす生物学的ならびに生理学的解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
基金として交付されたため、翌年度への自動繰り越しが可能な研究費として使用した。具体的には、年度末に物品が購入できないことによる研究の停滞を避けるため、計画的に少額ずつ使用していた結果、16,988円が平成26年度中に執行できず、H27年度へ自動的に繰り越しになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度にH26年度の繰越金額を全額使用するよていである。
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Research Products
(5 results)