2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450011
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
相井 城太郎 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 助教 (10391591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正之 石川県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00320911)
大田 竜也 総合研究大学院大学, その他の研究科, 准教授 (30322100)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 異形花型自家不和合性 / ソバ / トランスクリプトーム解析 / 雄性側S因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソバは花の形態が複数型あり、異なる形の花に由来する胞子体間でのみ受精が成立する異形花型自家不和合性であり、それらを制御する遺伝子群はS座に集約されて機能していると考えられている。しかしながら、その分子的実態は未だ明らかとなっていない。そこで本研究では、異形花型自家不和合性の分子的実態解明を目指し、自他認識に関わる雄性因子の同定を行っている。昨年度までに、長柱花個体(ss)の雄ずいと短柱花個体(Ss)の雄ずいにおけるRNA-seq解析を行い短柱花個体の雄ずい特異的に発現する遺伝子断片を複数見出すに至っている。本年度は、これらの遺伝子断片の雄性側S遺伝子としての妥当性を検証するために、時空間的発現解析、進化学的解析及び機能喪失変異体スクリーニングの基盤を構築した。また、ソバにおけるS遺伝子群のエピジェネティックな制御との関連性を調査した。 雄性側S遺伝子の28の候補遺伝子断片について時空間的発現解析を行ったところ、5つの遺伝子断片が短柱花個体開花前後の雄ずいにおいてのみ特異的に発現することが明らかとなった。これら5つの遺伝子断片の全長cDNA配列を決定しBLAST検索をしたところ、これまでにS遺伝子として報告のある配列との相同性は確認されなかった。これらについては、48のworld collectionとS遺伝子型が分離する集団を用いた相関・連鎖解析を実施し、現在継続中である。また、EMS及びイオンビーム照射により変異を誘発した集団を用いて、これら5つの候補遺伝子の機能喪失変異体のスクリーニングを実施し、現在継続中である。また、自家和合性変異体の短柱花個体の雄ずいにおけるRNA-seq解析から、エピジェネティックな制御下にあると考えられる5つのSハプロタイプ特異的に発現する遺伝子断片を見出すに至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、①候補遺伝子の時空間的解析、②進化学的解析、③候補遺伝子の機能解析及び④エピジェネティック制御解析に重点をおいていた。①の項目については、候補遺伝子断片の詳細な発現解析を実施することで、短柱花個体の雄ずい特異的に発現する5つの遺伝子断片を特定するに至っていることから当初予定位通りに研究は進んでいるものと判断する。②、③の一部及び④の項目については、最終年度に実施する予定であったが、研究の進展にあわせ本年度に開始し、現在も継続中であるため問題ない。また、研究分担者及び連携研究者らとも密に連絡を取り、お互いの研究進展の確認と今後の推進方策について議論することで研究体制の有機的融合を図った。したがって、現在までの研究は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ソバの自家不和合性における雄性因子を同定するためには、本年度までに得られた候補遺伝子の雄性側S遺伝子の妥当性を検証する必要がある。そのために、以下の2点の研究を行う。 ①発現解析及び進化学的解析による雄性S遺伝子としての検証:候補遺伝子の時空間的な発現解析とworld collection及びS遺伝子型が分離する集団を用いた相関・連鎖解析を継続して実施する。また、DNAメチル化と自家(不)和合性の関係を候補遺伝子が座乗する領域において調査し、ソバの自家不和合性におけるエピジェネティックな遺伝子発現制御について検証する。 ②候補遺伝子の機能的役割の解明:候補遺伝子の機能喪失変異体を単離し形質調査を実施することで、雄性側S遺伝子としての妥当性を検証する。また、和合・不和合応答時のトランスクリプトーム解析を実施し、雄性因子の機能的役割を解明する。 これらの研究結果を統合することで、ソバの自家不和合性の雄性因子を同定し、異形花型自家不和合性の機構解明を目指す。
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Research Products
(2 results)