2013 Fiscal Year Research-status Report
貿易協定の変化に迅速に対応できる小麦生産システム確立のための作物生育モデリング
Project/Area Number |
25450020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 謙介 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80391431)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 作物モデル / 生産者意思決定システム / コムギ / タンパク含量 / 価格分析 / APSIM |
Research Abstract |
本年度はまず東京大学西東京フィールドで行っている、4品種(軟質小麦3品種(ネバリゴシ、ニシノカオリ、アヤヒカリ)、硬質小麦1品種(ユメシホウ))×3施肥パターン×4播種期の試験を継続し、総乾物重、開花期葉面積、収量を実測した。子実のタンパク含量については現在測定中である。 次に、それらのデータを用いて作物生育モデルであるAPSIMのパラメーター決定を行った。順番としてはまずフェノロジーとして開花期と成熟期について低温要求性と長日反応性のパラメーターを決定した。次に開花期の乾物重と葉面積から比葉面積を決めた。最後に、収穫期の総乾物重と収量から、収量成立過程のパラメーターを決定した。いずれもほぼ10%以内の誤差でそれらの実測データを際限できることが明らかとなった。 現在はその決定したパラメーターを用いてさまざまな施肥パターンについて農家の最適収益を計算しているところである。 また11月には次の作期の実験として、2品種(軟質小麦:アヤヒカリ、硬質コムギ:ユメシホウ)×施肥パターン18レベル(基肥2レベル×茎立期追肥3レベル×出穂後追肥3レベル)の実験を始めた。年度末までに生育量の測定ならびに土壌水分の測定を継続的に実施してきたところである。 今後、本年度の試験結果を用いてモデルの適合度を判定するとともに、さまざまな生育管理をシミュレートして収益へ及ぼす影響を解析する。このことによって小麦生産農家が作業判断を行うための指針を得ることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
西東京フィールドにおける圃場試験の実施とデータ解析、ならびに作物生育モデルのパラメータ決定については、計画以上に進行しており、平成26年度の成果の一部まで達成している。 しかしながら自由貿易協定が成立した場合の価格の予測については現在解析中でありまだ成果を出すところまで進展していない。 平均としてほぼ順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は圃場での試験結果を得たのち、モデルによって精緻な解析を行うことが可能となるようにさらにパラメータ決定の精度を上げる。ただし今年度の小麦の生育が非常に良くなくモデル解析に使用できるデータをとれるかどうか不明である。農研機構・作物研の麦関係者によると本年度は一般的に冬の異常低温のために収量がかなり低いとのことであった(私信)。また遅れているさまざまな貿易協定パターンでの価格の分析についても精力的に進めていく。
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Research Products
(1 results)