2014 Fiscal Year Research-status Report
貿易協定の変化に迅速に対応できる小麦生産システム確立のための作物生育モデリング
Project/Area Number |
25450020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 謙介 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80391431)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コムギ / 作物モデル / 貿易自由化 / 意思決定支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国が、小麦需要の約90% を依存するアメリカ合衆国・カナダ・オーストラリアの3国との間で行っている自由貿易協定締結交渉は、いずれもその行方が予測できない。従って、国内における小麦生産を将来にわたってまで効率的に行える環境を確保するためには、どのような市場環境の変化にも迅速に対応できる生産システムを予め準備しておくことが重要である。本研究は、(1) そのような生産システムの開発に寄与し得る作物生育モデルの設計、および (2) 設計されたモデルを実際に活用した様々な貿易パターンの下での最適な小麦の品種と生育方法の導出、の二点を目的とするものである。 プロジェクト2年目の平成26年度は、前年度に引き続き東京大学西東京フィールドで麺用軟質小麦アヤヒカリ・パン用硬質小麦ユメシホウの生育実験を行った。平成26年度の実験では、両品種に12種類の施肥パターンを適用し、施肥量と施肥時期が農家所得の最大の決定要因である収量と子実のタンパク質含有量に及ぼす影響について統計解析を行うと共に、作物生育モデルを用いてこれらを正確に予測できるよう、パラメータの改善を試みた。また、決定したパラメーターを適用した作物生育モデルを経済モデルに統合することにより、様々な自然条件下かつ現在の経済条件下で農家の期待収益を最大化する施肥パターンを導出した。 併せて、関税障壁が取り除かれたときの市場価格の変化を予測する応用一般均衡分析の枠組みを用い、自由貿易協定がアメリカ・カナダ・オーストラリアのうち1国との間でのみ締結された場合、およびそれらの複数との間で締結された場合のそれぞれについて、国内における小麦価格の下落率を予測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圃場実験、モデリング、経済分析のいずれとも研究計画調書作成時に想定された速度で進んでおり、当初研究目的の達成が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き圃場実験を行い、軟質小麦・硬質小麦の双方について、より正確なパラメタライゼーションを実施する。加えて、全国各地の気象データ・土壌データおよび小麦の生育データを収集し、プロジェクト後半にて地域毎に最適な生産体系を導出する際の基盤となる空間データベースを整備する。
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