2016 Fiscal Year Research-status Report
貿易協定の変化に迅速に対応できる小麦生産システム確立のための作物生育モデリング
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25450020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 謙介 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80391431)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コムギ / タンパク含量 / 作物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大学附属生態調和農学機構において、播種時期がコムギの収量およびタンパク含量におよぼす影響について検討する実験の2作めを実施し、開花期追肥および収穫を行うとともに、生育、葉面積、収量構成要素等について調査を行った。また土壌水分、地温についても昨年秋の播種以来、継続した計測を行った。6月の収穫の後は、子実のタンパク含量の分析を実施するとともに、データの統計解析を実施した。 モデル研究に関しては、本年度の収穫物のデータに、2010年から実施してきた他の試験のデータを加えて、APSIMの品種パラメータの決定および妥当性検定(バリデーション)を実施しした。収量のRMSE(root mean square erro)について63-68 kg ha-1、タンパク含量のRMSEについて1.1-1.9%であり実用のレベルに達していることが確認できた。またmodel efficiencyは収量については0.71-0.81(1でモデルが実測値に一致)と十分な値であったが、タンパク含量については、0.2-0.6と低く、まだモデルの予測精度に課題のあることが明らかとなった。 一方現行のAPSIM作物生育モデルにおいて、遅い播種の場合の低温が発芽率に及ぼす影響が考慮されていないことから、その改善のための基礎知見を求め、2年のデータから播種後、出芽までの平均気温と出芽日数の間に直線的な相関を見いだしたので、それをモデルに反映させることを考察中である。 本研究の1,2シーズンめの圃場研究の成果について、英文学会誌JARQに投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度において、①実験圃場におけるデータの収集、②実験圃場からのデータと用いたモデル設計について順調に進捗している。③農家圃場におけるデータ収集と、④そのデータを用いたモデルのファインチューニングについては、計画を変更して、よりコムギ生産量が行い北海道および九州において地域試験場のデータを用いてパラメータの決定、妥当性検定を実施することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
農研機構のコムギ育種研究室の協力を得て、北海道および九州の地域試験場における過去の栽培データを入手し、それらを用いて、関東とは異なった気象環境におけるモデルの信頼性の検証を行う。またそれらの地域に適した優良品種について品種パラメータの決定と妥当性検定を行う。その上で各地域における窒素施用の最適化を行う。 またこれまでの研究知見について、①モデルのパラメータ決定および妥当性検定、②低温が出芽率におよぼす影響のアルゴリズムを取り入れたモデルの改良、についてそれぞれ学術論文を執筆する。
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