2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本型およびインド型水稲品種における米粒の肥大と脱水に伴う白未熟粒発生要因の解明
Project/Area Number |
25450023
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
宮崎 彰 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (00304668)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 由徳 高知大学, その他部局等, 名誉教授 (00093956)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 白未熟粒 / 胚乳細胞 / 水稲 / 穂の水ポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化に伴う水稲の登熟不良により白未熟粒の発生が増加し農家収入の減少を招いている。本研究では白未熟粒の発生要因を、(1)収量関連形質との関係から解析するとともに、(2)胚乳細胞の内部形態(大きさと数)との関係から解析した。また、(3)穂の水分生理との関係から解析した。成果の概要は以下の通りである。 (1)白未熟粒発生割合の品種間差異は粒形と密接な関係があり、日本型品種では粒厚と、インド型品種では粒幅との関係が有意であった。このことは白未熟粒割合が日本型品種では粒厚が厚い品種ほど高く、インド型品種では粒幅が広い品種ほど高いことを示した。しかし、これらの関係は高温条件下で認められず、他の要因が支配的になることが示された。 (2)白未熟粒(乳白粒)では完全粒より、また下位籾では上・中位籾より胚乳細胞の数が少ないが、細胞1個当たりの面積が大きいことが示された。胚乳細胞の数と細胞1個当たりの面積の間には密接な負の相関関係がみられ、トレードオフの関係があるものと考えられた。胚乳細胞が大きく、デンプンの充足率が低いと白未熟粒が発生しやすくなるものと考えられる。 (3)気温の上昇により、収量は有意に低下し、このことは玄米千粒重および登熟歩合が有意に低下したことによるものであった。玄米千粒重の低下は粒長および粒幅の低下によるものであり、粒厚はむしろ増加した。高温は登熟後期のSPAD値および出液速度を有意に増加させたが、穂の水ポテンシャルを有意に低下させた。これらの結果、白未熟粒割合は高温によって有意に増加した。一方、登熟期の地温の低下は、出液速度、穂の水ポテンシャルおよび穂の温度に有意な効果を与えなかった。また、収量、乾物生産および玄米外観品質にも有意な効果を与えなかった。
|
Research Products
(2 results)