2014 Fiscal Year Research-status Report
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25450030
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
福嶌 陽 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター水田作研究領域, 主任研究員 (00414813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 高見 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター寒地作物研究領域, 主任研究員 (00355281)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イネ / 耐冷性 / QTL / 花粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)東北農研(秋田県大仙市)において、東北地域における主要4品種および耐冷性5系統における花粉数および稔実率を調査した。冷水田における稔実率の高い品種・系統は、葯長が長く、花粉数が多いという関係が認められた。 2)東北農研において「北海IL3」(耐冷性QTL:qCTB8およびCtb1を保有)に「ふくひびき」を2回戻し交配した4系統、FK81(qCTB8有、Ctb1有)FK80(qCTB8有、Ctb1無)FK01(qCTB8無、Ctb1有)FK00(qCTB8無、Ctb1無)を用いて、耐冷性QTLのqCTB8およびCtb1の有無が花粉数および稔実率に及ぼす影響を調査した。初年度と同様に、Ctb1の有無による花粉数および稔実率の変化は認められなかったが、qCTB8は花粉数を多くし、稔実率を高める効果が認められた。また、初年度は、qCTB8およびCtb1ともに稈を長くする効果が認められたが、本年度は、qCTB8のみに、稈を長くする効果が認められた。 3)北海道農研(札幌市)では、北海287号(耐冷性やや強)およびほしのゆめ(耐冷性強)を遺伝背景とした系統について通常栽培条件における葯長および花粉数を調査した。「ふくひびき」のNIL同様、Ctb1により葯長、花粉数が増大する傾向がみられたが、qCTB8およびqFLT6を導入した系統ではCtb1のような増加は認められなかった。Ctb1による葯長の増加は東北品種と北海道品種で一致したが、qCTB8については異なる結果となった。 4)東北および北海道の試験結果から、qCTB8の効果は親の遺伝的背景あるいは気象条件によって異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耐冷性QTLと花粉数の関係が明らかになるなど順調に進捗している。ただし、研究計画を若干、変更した。すなわち、研究分担者の林高見が農研機構東北農研(盛岡市)から農研機構北海道農研(札幌市)に異動となった。このため、当初予定していた花粉の発芽に関する試験が実施できなかった。一方では、東北・北海道という気象条件の異なる地域において、同一の耐冷性QTLを評価するという新しい展開が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
花粉数や稔実率は年次変動が大きく、信頼性の高い結果を得るためには、3年間の試験が必要である。そこで、東北農研においては、最終年も花粉数の調査に重点を置く。北海道農研においては、設備の関係から花粉発芽の研究は休止し、qCTB8、Ctb1が花粉数、稔実率に及ぼす効果を調査し、東北農研の結果と比較する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額18434円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。次年度の研究費とあわせて、研究計画の遂行のために使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
花粉調査のための染色液等の試薬の購入に利用する。
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